小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた青山さんは、4年間しっかり勉強ができる場として、自分のことを見つめ直せる哲学科を選びました。大学での学びはとても刺激的で、今までの人生で今が一番、勉強が楽しいと言います。哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいます。今を大事に、一歩ずつ「哲学している」毎日です。

06 死ぬときに「ハッピーだったな」って思いたい

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藤枝:大学に入って、予想してたのとギャップを感じたことは?
 
青山:出席は自由でいいよって言う先生がいて、めちゃびっくりしました。
 
藤枝:授業にもよるけど、大学生の出席は、ある程度自分の判断に委ねられるところがあるからね。その辺は、子どもとして管理はしないからってことで、もう大人として扱ってるんだよね。
 
青山:あとは、大谷の図書館って、ものすごく本がありますよね。先生が薦めてくれた本を借りようと思って調べたら、検索結果がめちゃめちゃ出てきてびっくりしました。
 
藤枝:本が多いっていうのも本学の特徴だよね。専門書も多く入ってるし。地下の書庫にも入ってみた?
青山:入りました!あそこ、めっちゃかっこいいと思って!
 
藤枝:そうだよね。ああいう所を使うようになると、勉強してるって感じがするよね。あの中でどれだけの書物に触れられるかも楽しみですね。履修はどうでした?授業の組み立ては、高校までとは違うでしょ?
 
青山:シラバスを見ながら決めるっていうのが、本当に自分の興味がある授業を受けられるので楽しかったです。
 
藤枝:大学生活の最初に、自分で時間割を決めるっていうのは楽しい経験だと思います。授業をたくさん受けようと思ったらいっぱい入れることもできるしね。今後は、何を一生懸命にやりたいとかいう目標はありますか?
 
青山:大学4年間では、自分の脳みその中身を言語化したいなって思ってて。自分の感性を、そのまま何も介さずに、直に言いたくて。どうしても自分の感情を人に伝える時って、チープになりがちなんです。本当はこう思ってるけど、自分ですらもそれを汲み取り切れなくて、どうしても自分の経験の中にある言葉でしか表現できないから、本当の感情より簡単な表現になりがちなんですよね。だから、自分が考えたことそのままを人に伝えられるようになりたいと思います。
藤枝:なるほど。今のままだと、自分が考えていることと口から出てくる言葉が一致している感じがしないってことか。それを一致させていきたいってことですね。難しいでしょうけど、それをやるためにはいろんな本を読んだり、いろんな人と言葉を交わしたりして、より適切な表現方法とかより適切な語彙とかを身につけていく必要があるでしょうね。こういう研究分野に触れてみたいとか、興味がある領域はありますか?
 
青山:高校生の頃から、自分が死ぬときに「ハッピーだったな」って思えたらそれでOK、っていう考え方にしてるんです。だから今は全部が過程で、結果は死って考えてて。でもなんで自分は死ぬってことにそんなに執着してるんだろうって思うので、死生学に興味があります。
 
藤枝:青山さんにとってハッピーだと思える状況ってどんな感じ?
 
青山:今想像してるのは、死ぬときにはある程度周りに人がいて、その人たちに向かって「じゃあ死んで来るわ!」みたいな感じで死ねたらいいなって(笑)。お葬式も、してくれるんやったらパーティみたいなのをやってくれると良いなと思ってて。
 
藤枝:そういう考え方の人もいるよね。死っていうのは、辛くて怖いことでも、悲しいことでもないっていう考え方ね。それは死生学で集中的に考えられてることだから、それを学びたいというのはすごく良いと思いますよ。

PROFILEプロフィール

  • 藤枝 真

    文学部 哲学科 教授



    1996年早稲田大学第一文学部哲学専修卒業。2001年大谷大学大学院博士後期課程哲学専攻満期退学。2004年博士(文学)。大谷大学任期制助手、京都光華女子大学・近畿大学・大谷大学・滋賀大学・大阪教育大学非常勤講師を経て、2005年に大谷大学文学部専任講師、2009年准教授。
    “科学が世界の在り方や人間の生を解明する”という現代にあって、なぜ宗教はいまだに存在し、そのような問題について関与し続けているのだろうか。様々な宗教がそれぞれ独自のことばを持つこと、そしてそのことばで語ることの意味について、また、宗教が社会で果たすべき倫理的責任について、キェルケゴール、ウィトゲンシュタイン、デリダなどを参照しつつ研究をすすめている。



  • 小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた。いろいろ迷った末、さまざまな宗教について学べて、自分のことを見つめ直せる学問分野を探し、大谷大学の哲学科を選んだ。
    哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいる。高校生の頃から続けている茶華道のお稽古、アルバイト、映画研究部での活動、と充実した日々を送りながら、今を大事に、一歩ずつ「哲学」している。