ナゼナニ探究部
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戦国時代の「超エリート営業集団」とは?
営業、マーケ、情報戦——現代ビジネス顔負けの働き方に迫る

「ダイバーシティ(多様性)」ということばを、ニュースなどで耳にする機会が増えました。「みんな違ってみんないい」は当たり前のことですが、なぜ企業は多様な人材を求めるのでしょうか。そこには、人権や公平性を大切にすることに加え、変化に強い組織を作るという経営上の理由もあるようです。
「ダイバーシティ」は、なぜここまで注目されるようになったのでしょうか。その背景をたどると、大きく4つの流れが見えてきます。人権や公平性を重視する社会へと変化してきたこと、グローバル化によって市場が広がったこと、知識やアイデアが大きな価値を生む経済へ変化してきたこと、そして多様性を大切にする組織が社会的に評価されるようになったことです。これらの流れが重なりあうことで「ダイバーシティ」を重視する動きにつながっていったと考えることができます。特に、日本では労働力不足が深刻な業界を中心に、働く人の国籍や年齢、経験、働き方がこれまで以上に多様になっています。今の高校生が社会に出る頃には、生まれ育った環境やことば、考え方の異なる人と働く機会が、さらに身近になっているでしょう。
多様性には、年齢など外から比較的気づきやすい違いと、価値観や経験、働き方など、外からは見えにくい違いがあります。こうしたさまざまな人が集まっていることは、多様性の一つの側面です。しかし、それはまだ「人の構成が多様である状態」にとどまります。一人ひとりが仲間として受け入れられ、意見や能力を生かせる環境があって、初めて組織の力につながります。異なる社会的背景や経験を持つ人々が相互に関わることで、新たな知識や発想が生まれます。ところが、実際の現場では、最初は目新しさから良い雰囲気で始まっても、仕事の進め方や価値観の違いから次第に摩擦が生まれ、かえってマイナスの効果になってしまうケースも少なくありません。そこで欠かせないのが「心理的安全性」です。心理的安全性とは、チームメンバーや同僚の前でも、安心して質問したり、助けを求めたり、自分や他者の間違いを率直に認めたりできる雰囲気を指します。そうした雰囲気がある職場では、多様な人々の持つ力が組織全体の力へと変わっていきます。これは職場だけでなく、学校のグループワークなどにも当てはまるのではないでしょうか。
前述のとおり、日本では労働力不足が深刻な業界を中心に、働く人の国籍や年齢、経験、働き方がこれまで以上に多様になっています。2025年10月末時点では、日本で働く外国人労働者はおよそ260万人にのぼります。そして、外国人労働者を雇用する事業所の6割以上が、従業員30人未満の小規模な事業所です。このように、職場の多様化が最も進んでいる現場の一つが中小企業です。こうした企業では、外国人従業員の能力をいかに引き出し、企業業績の向上につなげるかという課題に日々取り組んでいます。たとえば、経営者と従業員の距離の近さを生かし、一人ひとりの状況にあわせた取り組みを進められる場合があります。ある建設関連の会社では、経営者が自ら外国人従業員の母語を学び、自分のほうから話しかけるよう心がけました。職場のみんなで一緒に食事に出かけるようにするなど、外国人従業員の孤独感を和らげ心理的安全性を高める工夫や組織の見直しも重ねたといいます。その結果、日本人と外国人従業員との間に次第に信頼関係が築かれ、今ではその外国人従業員は仕事に必要な難しい資格をいくつも取得し、後輩のキャリア形成の手本となる存在に成長しています。このように、人手不足をきっかけに外国人従業員を雇用するようになった中小企業が組織づくりを見直せるかは、経営者のリーダーシップのもと、職場全体で対話を重ね、働きやすいしくみを作れるかどうかがカギになります。日本人従業員の戸惑いや葛藤を乗り越えながら職場全体で学びを重ね、外国人従業員と日本人従業員が互いに支えあう職場の雰囲気を育てて、多様性を組織の力に変えていくためにはどうすればよいのか、それはこれからの日本企業の重要な課題です。
「個性を生かすこと」と「チームとしてまとまること」は、対立するものではありません。大切なのは、一人ひとりの得意なことや苦手なことは何か、そして本人の希望は何かを対話の中で知り、それぞれが力を発揮できる役割や環境を考えることです。同じ考え方の人ばかりの組織は結論を出すのが早い一方で、問題の見落としに気づきにくいという弱点があります。反対に、異なる視点を持つ人が集まれば、新たなアイデアや解決策が生まれやすくなると考えられています。ただし、それぞれが安心して意見を出しあい、その違いを組みあわせられる環境がなければ、対立が深まることもあります。したがって、多様性を組織の力に変えるには、違いを生かすためのマネジメントが必要です。企業の規模に関わらず、個々の力を把握し、それをチーム全体にどう生かすかを考えられるリーダーの存在が、組織の力を大きく左右するといえるでしょう。
就職活動で「あなたの個性をアピールしてください」と言われたら、戸惑う人も多いでしょう。けれども、無理に特別な何かを作る必要はありません。ダイバーシティの観点から見ると、企業が本来求めているのは「目立つ個性」ではなく「異なる背景や経験から生まれる多様な視点」だからです。何に違和感をもつのか、どんな場面で力を発揮しやすいのか。そうした日々の選択や感じ方の積み重ねの中にこそ、その人らしさは表れます。特別な経験を無理に作ろうとせず、いつもと違う場所に足を運んでみる、話したことのない人と話してみるといった小さな行動の積み重ねによって、自分の世界を少しずつ広げ、自分の中の「引き出し」を増やしていくことができます。
企業が「個性」を求める背景には、人権意識の高まりやグローバル化、人手不足といった社会の変化があります。多様な人材を集めるだけでは組織の力にはならず、それを力に変えるマネジメントこそが問われています。
「多様な人が力を発揮しあえる組織をどう作るか」。正解が一つではないこの問いを、実際の企業や地域の事例から考え続け、その先に、自分なりの答えを探していく。そんな学びの積み重ねの先に、これからの社会を考えるヒントが見えてくるはずです。


お話しいただいたのは…
社会学部 現代社会学科
三宮 直樹 准教授