現在、大学院人文学研究科 真宗学専攻 修士課程で学んでいる巖城 大空さんに、真宗学専攻での学びについて語っていただきました。
※このページに掲載されている内容は、取材当時(2023年12月)のものです。

現在、大谷大学大学院人文学研究科 真宗学専攻 修士課程の第2学年に在学し、真宗の教えを学んでいます。高校時代はスポーツ活動に励んでおり、それを生かして他大学に進学する予定でしたが、両親からの強い勧めがあり、真宗大谷派教師資格を取得するために本学文学部真宗学科に入学しました。

学部生時代は、勉強にあまり力を入れていませんでした。しかし、卒業論文を作成した4年生の時に、文学部在学中に真宗の教えと全く向き合っていない自分に気づき、今まで勉強してこなかった自分に焦りを感じ、もう少し勉強したいという気持ちが生まれました。それをゼミ指導教員の三木彰円先生に相談したところ、もう少し勉強したいと思うなら大学院に進んではどうか、というお言葉もあり、大学院への進学を決めました。

高校では、古文・漢文の授業が特に苦手で、修士課程に進学しても、親鸞の主著である『教行信証』などを読むことができるのか、とても不安を感じていました。しかし、苦手なりにも、毎日少しずつ友人たちとお聖教を音読していくことで、少しずつ苦手意識がなくなり、読むことがとても楽しくなりました。今、古文や漢文が苦手で不安に思う人も、必ず読めるようになると思います。少しずつでいいので、友人たちとともに、ぜひお聖教を読むことにチャレンジしてほしいと思います。

卒業後の進路は、大谷大学の博士後期課程に進学し、更に大学で真宗学を学びたいと考えています。その先は自坊に戻り、大学で学んだことを通して、ご門徒の方々と共に真宗の教えを聞いていきたいと考えています。

真宗の学びに導いてくれた、助教の先生との出遇い

私に初めて真宗の教えを学びたいという気持ちが生まれたのは、4年生の卒業論文作成の時でした。しかし、そのように感じた時、これまでの3年間でほとんど勉強をしてこなかった私は、どのように勉強したら良いのか分かりませんでした。

その時に、総合研究室に真宗学の助教の先生がいることを知り、当時の助教であった村上無量先生を訪ねました。先生に真宗の教えを一から学びたいと相談したところ、週に二回ほど勉強会を設けていただきました。真宗の教えの基礎的なことから先生に教えていただく中で、初めは知らないことが多すぎて内容を十分に理解することができませんでしたが、学びを続けていく中で、学びの内容と私の疑問が重なる瞬間があり、次第に理解が深まっていったように感じました。その中で、真宗の教えを学ぶ方法が次第に明確になり、私の学びの意欲が増したと思います。

真宗の教えについて全く知らなかった私に、一から丁寧に教えてくださった先生と出遇い、その学びによって、今の私があると強く思っています。親身に先生が私に向き合ってくださったご恩を忘れず、次は後輩たちに私が教わったことを伝えていきたいと思っています。在学生でも、どのように勉強したら良いのか分からない方や、これから学びたいと思う方は、総合研究室にいる助教の先生や大学院生に、ぜひ気軽に声をかけてみてください。

大学院の仲間たちとの学びは、これからも生き続けていく

インド仏教遺跡研修にも参加
インド仏教遺跡研修にも参加

真宗学専攻の修士課程に進学してからは、主に総合研究室において先輩や同期、後輩と共に勉強していました。その仲間と勉強する日々の中で、仲間と共に学ぶ大切さを強く感じました。

私自身、古文・漢文が昔から苦手で、修士課程に入学してからもなかなか取り組むことができませんでした。あるとき「真宗学特殊研究(論文指導)」という授業で中国の善導が著した『観経四帖疏(かんぎょうしじょうしょ)』「序分義」における担当箇所の現代語訳を発表したところ、先生と同期から私の担当した箇所の訳について指摘があり、正確に読めていないことがわかりました。そこから、一から古文・漢文の知識を学び始めました。現代語訳に必要な品詞分解や訳語における意味の種類などを同期に教わり、ある程度まで古文・漢文の理解度が深まったように感じています。

総合研究室で勉強する時間以外にも、ある同期と毎晩『教行信証』(主に「行巻」)を声に出して読むことに取り組みました。初めは内容の理解どころか、文章すら正確に読むことができていない自分に気づきました。しかし、毎日続けていくことで、次第に古文の文章に慣れていきました。文章に慣れてくると内容理解ができていなくても、どこに何が書かれているのか、ということがわかるようになりました。

数人の同期と総合研究室で勉強する中で、お聖教に対する問いや自身の生活の場での問いなど、個人個人が抱えている様々な疑問に対して真剣に聞き、話し合う場面が何度かありました。同期の悩みや疑問を聞く中で、それぞれ違った形で悩み、それぞれが自身の問いに真剣に向き合っている姿は、私自身も考えさせられるものがありました。このような座談のような形で、教えや自身の問いに真剣に向き合い続けさせてくれた経験は貴重なものであると思います。仲間との学びの日々は、これからも私の中で永遠に生き続けるでしょう。

真宗の教えに向き合う姿勢

大学では指導教員から様々なことを学びますが、私の指導教員である三木彰円先生が特に大切に教えてくださることは、真宗の教えに向き合う姿勢です。先生からはまず私とお聖教がどのように関わっていくのかという視点を持つことが大切であると学びました。その上で、お聖教を読解していく際に、簡単な訳や解説されている本などに頼らず、原文のまま読むということを大事にしています。

また、先生から教わったことは、常に疑問や問いを持ちながらお聖教を読んでいくことです。わかりやすく解説されている本などありますが、自分自身がお聖教をどのように受け止めることができるのかという問いを持ち、お聖教に向き合うことが大切であると学びました。

修士課程における二年間の学びは、友人と共に学ぶことを通して、お聖教に向き合うことの大切さを教えてもらいました。これから先、様々な場面で困難に直面すると思いますが、共に学んだ仲間たちに教えてもらったことに立ち返り、日々、聞き、学び続けたいと思っています。

PROFILEプロフィール

  • 巖城 大空 (いわき おおら)

    大学院 人文学研究科 真宗学専攻 修士課程 第2学年

    大谷大学文学部真宗学科 2021年度卒業