子どもと一緒に学び続ける教師になりたいという思いを持って勉強を続ける渡邉さんは、コロナ禍での自宅学習期間を通して、社会が変わっていく様子を実感したと言います。直接会えなくても、授業の内容を「自分事」として捉えることができれば、歴史上の出来事も身近なこととして実感できます。技術を駆使し、工夫を重ね、「教えるだけ」の授業から発展させて、未来につながる学びを表現したいと、志を高く持っています。

03 模擬授業は発見がたくさん!

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谷:3年生の前期はどうでした?
 
渡邉:大学での対面授業も始まったので、みんなで一緒に勉強できる喜びがある一方で、少し不安や焦り、周りが気になるということもありましたね。
 
谷:大谷大学ならではの特徴的な授業はありますか?
 
渡邉:3年生の前期に受けた「教育人間学」っていう授業は、大谷大学の特色が出た授業だなと思いました。子どもたちと接する上で、心理的にどう関わっていくかっていうことがすごく重視されています。学校はやっぱり勉強を教えるだけの場ではないので、子どもたちの心をどう支えていくかとか、人としてどう関わっていくかっていうのを、親鸞聖人の教えをもとにお話しされていたり、虐待に関することを教えていただいたり。大谷大学ってやっぱり人間を大事にされている大学だと思うので、自分自身も本当に子どもたち一人ひとりと向き合って平等に人の心を大切にできる人間になりたいなと思いました。
 
谷:それを聞いて嬉しいです。「探究ゼミ(理科)Ⅰ」はどうでしたか?
 
渡邉:みんなの前で授業をするというのはやはり緊張しましたね。でもやらないとわからないこともありますし、やってみて気づくことも多かったので、そういった練習を重ねていくことが多かったのかなと思いました。教え方は分野によっても違うと思うんですけど、理科は内容を重視して、内容を軸に授業を構成していくというイメージがあるのに対して、国語は全体を通して国語として何を教えたいかということを重視していると思います。そういう違いはありますけど、その中でも、子どもたちに普遍的に大切にしてほしいことを伝えられる授業なのかなと思います。
 
谷:やっぱり理科の場合は、「楽しい」とか発見があるっていうのが教科の特性だと思うんですが、それをどう言葉で伝えていくのか。やっぱりカギとなるのは国語力だと思います。渡邉さんは授業のときにすごくよくメモを取っていた姿が印象的で、熱心だなと思っていたんですが、「探究ゼミ(理科)Ⅱ」の方はいかがですか?
 
渡邉:本当に自由にやらせていただいています。自分たちで計画を立てるところから始めて、今は磁石を担当しているんですけど、この前には授業もやらせてもらって、新たな気づきがたくさんありました。国語の授業だと、教師役1人に対して、児童役の人たちがたくさん、という形なんですけど、理科だと児童役も少人数なので、1人ひとりの意見を聞けたり、近い距離でアドバイスをもらえるところがすごく嬉しいです。
この前は、「離れていても磁石はくっつくのか」ということを勉強しました。学校ボランティアに行った時にちょうど磁石の授業を見たんですけど、子どもたちは本当に生き生きしてて、いろんなところにくっつけてみたり、できたときに「見て、見て」って元気に話しかけくれたので、そういう気持ちを大切にして学びにつなげていけるような授業ができたらなと思います。
谷:磁石はモノがくっつくという現象が楽しいですけど、磁力って見えないでしょ。だから、磁力が強かったら色が濃くなるっていうシートを使って、見えない力でもちゃんと働いているっていうのを可視化してあげるとすごくびっくりするし、学生でも驚くよね。そういう点では楽しい教材かなと思います。
 
渡邉:そうですね。あとは、実験している中で、あっちのグループも気になるな、と思ったりもするので、他のグループとも交流とか報告会みたいな機会があれば、もっと違う活動も知れて良いかと思います。
 
谷:そうですね。僕としては、どれだけ他の人と会話をして授業を組み立てていけるかってところを見せてもらっているんですが、時間をかけて、わかったことを書きだしてもらって、それを評価するってこともやってもらうので、ぜひ引き続き一生懸命取り組んでもらえたらと思います。

PROFILEプロフィール

  • 谷 哲弥

    教育学部教育学科 講師



    1981年3月 京都教育大学教育学部理学科卒業。1981年4月 京都府長岡京市・向日市・乙訓郡大山崎町にて小学校教員として勤務(~2018年3月)。2018年3月 京都教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻理科教育専修(修士課程)修了。教育学修士。2018年4月 大谷大学教育学部着任。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)小学校理科において、好奇心いっぱいの児童が持つ能動性を引き出すために必要な指導や教材開発について研究を進める。また、主体的対話的な学びとは何かを問いつつ、科学的な物の見方や考え方を養うことを目指す授業づくりについて研究を進める。
    (2)現職教員や教員養成段階の学生に対して、集団的省察活動を試み、教員としての資質・能力の熟達化を図る取組とその検証について研究を進める。



  • 1年生の時は1人で勉強することが多かった。最近はゼミの仲間と勉強をすることが多くなり、その中で新たな気づきがあることや、一緒に頑張れる仲間の存在が大事だと痛感している。
    時には「本当に教師で良いのか」と自問自答することもあるが、志は高く、子どもと一緒に学び続ける教師になりたいという思いを持って、勉強を続けている。