子どもと一緒に学び続ける教師になりたいという思いを持って勉強を続ける渡邉さんは、コロナ禍での自宅学習期間を通して、社会が変わっていく様子を実感したと言います。直接会えなくても、授業の内容を「自分事」として捉えることができれば、歴史上の出来事も身近なこととして実感できます。技術を駆使し、工夫を重ね、「教えるだけ」の授業から発展させて、未来につながる学びを表現したいと、志を高く持っています。

04 イマジネーションを高める社会の授業

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谷:ゼミはどうですか?
 
渡邉:国語科教育と、教師行動とか、教師に必要な力を学ぶことができるゼミに所属しています。ゼミの中では、実践的な模擬授業をやったり、そのフィードバックを通して国語教育を追究していくという学びをしています。
 
谷:望月先生も話題が豊富で楽しい先生ですよね。相談に乗ってもらったりもできるし、心強いですね。学ぶということについて、高校までは与えられたことを暗記するとか、受験のための勉強という側面が強かったということもあるかと思うんですが、大学で2年間勉強して何か思うことはありますか?
渡邉:高校の時は、与えられた課題に対して取り組んでいく、ある程度の答えが決まっていてそこに向けて学習を進めていくという形が多かったんですけど、大学の学びは本当に答えがなくて、あっちをしても良いしこっちをしても良いし、追求できるものがさらに増えたかなという印象を持っています。
 
谷:具体的には?
 
渡邉:模擬授業をする際、指導書に沿って授業を組み立てたのに実際はうまくいかなかった場合、じゃあこの授業はどうやって教えた方が良かったのかなとか、どういう展開に持って行くとより深い学びにつながるのかなということを考えるうえで、追求できるなということを実感しますね。
 
谷:なるほど。他の教科ではどうですか?
 
渡邉:例えば社会科の場合ですと、社会ってわりと暗記するイメージの教科だと思うんですけど、いま「初等科教育法」で習っている社会は全く暗記ではなくて、考える社会という形なんです。飛鳥時代のことを学ぶとしたら、Google Earthを使って「実際に飛鳥時代の大仏のところに行ってみよう!」みたいな感じでみんなで飛んで、「こんなに大きなものをあの時代に作ったんだね」っていう感じで、ただ事実を覚えるだけじゃなくて、当時の視点に立って物事を見てみたり、当時の人びとの気持ちになって考えてみたり、自分事として捉えるような授業ができるなってことに気づいて、教えるだけの社会から発展させたいなと思いました。
谷:教員が教材研究したことを伝えるだけでは伝わらなかったり、練り直しをしていかないと授業にならないからね。岡崎先生の社会科の授業を受けてる学生は、みんなすごく楽しいって言ってますね。先生がコメントを吸い上げたり、いろいろ工夫されてるのもあってか知らないけど、自分のこととして考える、あとは想像力を掻き立てられる、そういうところもメリットだと思います。だから1枚の資料を見ても、そこから何を導き出すのかとか、どうイメージを高めてその時代に思いを馳せるのか。そういうことができるのは魅力ですね。たまにテレビのCMとかで、資料がデジタルで動いてしゃべっているみたいなのがあるけど、ああいう発想もこれから大事だと思います。
 
その他にも、タブレットがあれば、例えばルーブル美術館のサイトに入って本当に建物の中を見てみましょうってこともできますね。いろんな情報があちこちにあるので、それをどう使うかっていうスキルを磨くことも必要かなと思いますね。タブレットを使えるもの、自分の得意なものにしていくっていう使い方がメインになっていくのかなと思います。あと、自分ではできない学習をタブレットを使って深めていくっていうのも重要ですね。理科でも、自分でやるにはちょっと危険な実験とか、学校でも用意できないような大きな実験は、映像で見るっていうのも良いかと思います。実感は基本的に大事で外せないんですけど、仮想でも良いものはどんどん利用したらいいと思います。
 
渡邉:そうですね。機械を利用しつつも自分で考えるっていうところは、探究活動でも私が大切にしている軸みたいなところがあるので、これからも探究を続けていきたいと思っています。
 
谷:探究というのは社会でも必要な力ですしね。

PROFILEプロフィール

  • 谷 哲弥

    教育学部教育学科 講師



    1981年3月 京都教育大学教育学部理学科卒業。1981年4月 京都府長岡京市・向日市・乙訓郡大山崎町にて小学校教員として勤務(~2018年3月)。2018年3月 京都教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻理科教育専修(修士課程)修了。教育学修士。2018年4月 大谷大学教育学部着任。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)小学校理科において、好奇心いっぱいの児童が持つ能動性を引き出すために必要な指導や教材開発について研究を進める。また、主体的対話的な学びとは何かを問いつつ、科学的な物の見方や考え方を養うことを目指す授業づくりについて研究を進める。
    (2)現職教員や教員養成段階の学生に対して、集団的省察活動を試み、教員としての資質・能力の熟達化を図る取組とその検証について研究を進める。



  • 1年生の時は1人で勉強することが多かった。最近はゼミの仲間と勉強をすることが多くなり、その中で新たな気づきがあることや、一緒に頑張れる仲間の存在が大事だと痛感している。
    時には「本当に教師で良いのか」と自問自答することもあるが、志は高く、子どもと一緒に学び続ける教師になりたいという思いを持って、勉強を続けている。