他大学との合同サークルや小学校でのボランティア活動、授業の課題などで大忙しの日々を過ごしている渡邉さんは、実は谷大入学をギリギリまで悩んでいたと言います。それでも入ってみると、小規模校ならでの先生との距離の近さや、充実したカリキュラムに満足し、今では刺激のある大学生活を大いに楽しんでいます。自身が経験してきた探究活動を通して、子どもと共に自らも成長できるような教師になるべく研鑽を積んでいます。

06 探究の気持ちを忘れずに、自分らしさを出す

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渡邉:先生が教師を育てる側に立とうと思われたのはなんでですか?
 
谷:それはご縁ですね。僕はずっと小学校教員だったんですけど、退職の10年前くらいから、わりと世間で言うところの「しんどいクラス」を担当することが多くて。自分のクラスの情報を共有しながら、結果として経験を若い先生に伝えてきたので、それが教員養成にもつながるかもしれないと思っています。
今は「教師教育学」っていう分野に関心があって、教育実習のあり方を考えたいと思っています。日本の場合、教育実習は1か月くらいどっぷり学校に行きますけど、ヨーロッパの国は、わりと長期にわたってボランティア的な関係で学校と関わるんです。そこで得たことを大学に帰って先生と話すっていうリフレクションがある。それを4年間くらい重ねていく中で先生の気持ちもわかっていくんです。だから日本も、もっと幅広くいろんな子たちを見ていくっていう実習もアリかなって思ってるんです。そういうチャンスを今後作れたらなと思ってます。
 
学校ボランティアに行った学生から、学校で昆虫が死んじゃって先生がこういう対応をしたんだけど、どうなんだろうって思ったとかいう話を聞いたことがあるんですけど、現場を見ると、自分の違和感とかもあるはずなんですよ。それを大学でもっと語ってほしいなと思ってます。学校ボランティアのフィードバックの機会はありますか?
 
渡邉:はい。「実践体験活動演習」っていう授業で、期末の3回くらい、みんなで集まって、こんなことがありましたって発表する機会があります。
 
谷:ボランティアに行って印象的なことは?
 
渡邉:1年生の先生が体調を崩されたので、1ヵ月間は代わりの先生が入ってるんですけど、子どもたちがめちゃくちゃうるさくなってしまって。多分、自分のことを知ってほしいと思ってると思うんですけど、先生が入れ代わり立ち代わりする中で、「僕が、私が」ってなってて。子どもは知らない先生だと良い子ぶるのかなと思ってたので、思ってたのと違ったなっていう発見がありました。
 
谷:その落ち着かなくなったことをどう見るかですよね。子どもたちそれぞれによっても違うから難しいかと思うけど、感じたことを学校にフィードバックできると良いですね。探究活動でやってたような、自分なりに深める部分が教職には必要かなと思うんです。ボランティアの経験はぜひ活かしたいですね。
 
渡邉:ボランティア先では、同じ学年でも授業の内容が違ってたりとかして。単元は同じなのにやり方が違って。そういうのって統一されてるんですか?
 
谷:両面あると思うね。統一するべきところは統一するということと、その先生の持ち味を発揮すること。みんな同じだったら、教えるってことが画一的になりそうな気がするのでね。だから先生同士が学び合うことも必要になってくる。それでいいと思うんです。めちゃくちゃ違うっていうのは子どもも保護者も困るけど、いつもこの先生はこうやって終わるとか、この先生はいつも活動があって楽しいとか、先生ごとの良さも子どもたちは見てくれるので、そういうのがあってもいいかなって思います。
 
先生はお互いに情報交換をしながら、授業を進めていますね。それ(手作りの教材など)ちょっと貸してとか、そのプリントでやってみるとかいうことはありますね。
それから、私は校庭にやってくる野鳥を見せたいと考え、ミカンを半分に切って木の枝につけておくんですね。理科以外の学習をしている時に、野鳥がやってくることがあると、一旦学習をおいて、子どもたちみんなで教室の窓際から観察したり、写真を撮ったりすることもありましたよ。
渡邉:そういうのができるのも小学校の先生ならではですね。
 
谷:そうですね。何か自分の得意とか好きなことを持っとくことも大事で、自分の「先生らしさ」を出していく。いろんなことをある程度やっておくと、先生としてもいろんな間口を持てるから。そして常々探究の気持ちを忘れないでいればいいかなと思います。

PROFILEプロフィール

  • 谷 哲弥

    教育学部 教育学科 講師



    1981年3月 京都教育大学教育学部理学科卒業。1981年4月 京都府長岡京市・向日市・乙訓郡大山崎町にて小学校教員として勤務(~2018年3月)。2018年3月 京都教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻理科教育専修(修士課程)修了。教育学修士。2018年4月 大谷大学教育学部着任。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)小学校理科において、好奇心いっぱいの児童が持つ能動性を引き出すために必要な指導や教材開発について研究を進める。また、主体的対話的な学びとは何かを問いつつ、科学的な物の見方や考え方を養うことを目指す授業づくりについて研究を進める。
    (2)現職教員や教員養成段階の学生に対して、集団的省察活動を試み、教員としての資質・能力の熟達化を図る取組とその検証について研究を進める。



  • 中学の頃、友達に勉強を教えることの楽しさを知り、教師になる夢を持ち始めた。谷大への入学をギリギリまで悩んだものの、入ってみると小規模校ならでの先生との距離の近さや、充実したカリキュラムに満足し、今では刺激のある大学生活を大いに楽しんでいる。
    他大学との合同サークルや小学校でのボランティア活動、授業の課題などで大忙しの日々。自身が経験してきた探究活動を通して、子どもと共に自らも成長できるような教師になるべく研鑽を積んでいる。