他大学との合同サークルや小学校でのボランティア活動、授業の課題などで大忙しの日々を過ごしている渡邉さんは、実は谷大入学をギリギリまで悩んでいたと言います。それでも入ってみると、小規模校ならでの先生との距離の近さや、充実したカリキュラムに満足し、今では刺激のある大学生活を大いに楽しんでいます。自身が経験してきた探究活動を通して、子どもと共に自らも成長できるような教師になるべく研鑽を積んでいます。

03 ディズニーランドはいかにして「夢の国」たりえるか

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谷:渡邉さんはどんな探究活動を?
 
渡邉:私はディズニーランドについて調べたんですけど、東京ディズニーランドって、よく「夢の国」って言われたりしますよね。世代とか国を超えて非現実的な世界ができてると思うんですけど、その非現実的な空間って何かなって考えたときに、どのような要素が現実と非現実の境界線を生み出して、現在の東京ディズニーランドを創り上げているのかっていう問いを立てたんです。
 
問いを立てたら、次は仮説を考えるんですけど、「空間設計における人間性の排除が不可欠である」って、ちょっと難しい言葉を使いました(笑)。それでそこから仮説を証明するために、東京ディズニーランドという夢の国を支える特異性を明らかにしていきましょうっていう感じで探究が始まっていきます。
ウォルト・ディズニーがディズニーランドを作ったんですけど、テーマ設定がすごく厳密にされていて、例えば「アラビアンコースト」っていうエリアはイスラム教をイメージしてるんですけど、クリスマスシーズンでもそのエリアにはクリスマスの装飾は全くないんです。イスラム教はクリスマスをお祝いしないから、他のエリアが全部クリスマス一色になってても、そこでは飾らないっていうのを、本当に徹底的にしているそうです。
 
谷:なるほど。一貫性があるわけだね。
 
渡邉:そうなんです。ディズニーシーの方には火山もあるんですけど、火山ができるにしたがって火山湖が作られてて、そこから飛んできた岩石の質感とかもちゃんと表されているっていう話を聞いたことがあります。
 
谷:リアリティがあるんだね。すごいな。
渡邉:徹底した閉鎖的な空間ということで、ディズニーランドの中からは、外の景色が全く見えないんですよ。そういう物理的な問題もきちんとしてて。他の理由としては、リピーターを獲得するっていうことで、ディズニー流のレベルの高いサービス、すべての人にハピネスを与えるっていうホスピタリティを挙げました。
 
谷:そうやって深めていったんだね。
 
渡邉:はい。あとは入園回数のアンケートを取りました。これは知り合いにも協力してもらったんですけど、関東地方の大学とかで、ディズニーに行った人が、2回以上行ったかを調査してまとめました。でもその結果を見せたときに、同じゼミの人から「関東地方だけやったら、証拠として不十分じゃないですか」っていうツッコミを受けて。近畿のことも調べないと、ってなって、「次回の課題にします」っていう感じで進んでいきました。
そして考察の部分は、(1)理念とテーマが存在する、(2)あらゆるテーマを持って意図的に設計されている、(3)リピーターの獲得を重要視している、っていう感じでまとめて、ディズニーランドの空間設計は、現実世界とはかけ離れた非現実な夢の国を支えていて、非現実っていうのは、人間性の排除とサービスによって生み出されています、みたいな。結論として、工夫とサービスによって、物理的だけでなく意図的に外的空間から切り離されて非現実的な世界を味わうことができる特異性を持っているっていうのが、仮説の答えになっています。
 
今後の課題としては、一応国際文化ゼミっていうゼミにいたんですけど、国際比較を全く行っていなかったところかな。最初は世界のディズニーと日本のディズニーで比較してたんですけど、あんまりうまくいかなくて。それで最後は論文にまとめました。1万字も書くんや、って思いましたけど、高校生にしては頑張ったかなと思います。
 
谷:卒論に届くようなレベルですね。もちろん大学の学びっていうのはまた違いますけど、そうやってよりシャープに物事を見ていくと、自分の問題意識が出て来ていいですよね。僕のゼミでも、1万字のレポートを課したら、みんな結構苦しんでましたね(笑)。やっぱり文字を書くっていうのは自分の力になると思います。

PROFILEプロフィール

  • 谷 哲弥

    教育学部 教育学科 講師



    1981年3月 京都教育大学教育学部理学科卒業。1981年4月 京都府長岡京市・向日市・乙訓郡大山崎町にて小学校教員として勤務(~2018年3月)。2018年3月 京都教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻理科教育専修(修士課程)修了。教育学修士。2018年4月 大谷大学教育学部着任。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)小学校理科において、好奇心いっぱいの児童が持つ能動性を引き出すために必要な指導や教材開発について研究を進める。また、主体的対話的な学びとは何かを問いつつ、科学的な物の見方や考え方を養うことを目指す授業づくりについて研究を進める。
    (2)現職教員や教員養成段階の学生に対して、集団的省察活動を試み、教員としての資質・能力の熟達化を図る取組とその検証について研究を進める。



  • 中学の頃、友達に勉強を教えることの楽しさを知り、教師になる夢を持ち始めた。谷大への入学をギリギリまで悩んだものの、入ってみると小規模校ならでの先生との距離の近さや、充実したカリキュラムに満足し、今では刺激のある大学生活を大いに楽しんでいる。
    他大学との合同サークルや小学校でのボランティア活動、授業の課題などで大忙しの日々。自身が経験してきた探究活動を通して、子どもと共に自らも成長できるような教師になるべく研鑽を積んでいる。