社会学部生が公益財団法人関西交通経済研究センター「第17回(2024年度)懸賞論文」優秀賞と奨励賞のダブル受賞【地域交通とモビリティプロジェクト】

優秀賞と奨励賞のダブル受賞

2年連続優秀賞受賞は、初の快挙!

本学社会学部の開講科目「プロジェクト研究実践」(担当教員:野村実講師)では、京都府京丹後市と兵庫県丹波篠山市をフィールドに「地域交通とモビリティプロジェクト」に取り組んでいます。買い物や通院等の移動(モビリティ)をテーマに、 誰ひとり移動に困ることのない社会を支えるコミュニティデザインをめざし、現場から学び、課題解決をめざす地域連携プロジェクトです。

3月24日に執り行われた、公益財団法人関西交通経済研究センター主催「第17回(2024年度)懸賞論文」表彰式において、プロジェクトメンバーである社会学部コミュニティデザイン学科第3学年の堀正樹さんが優秀賞(2年連続受賞)と第2学年の岡田紗奈さんが奨励賞を受賞しました。この懸賞論文において、同じ発表者の2年連続での受賞は初めての快挙となります。最優秀賞の受賞はこれまでになく、優秀賞を受賞した堀さんは、最高位での受賞となります。

今回、受賞した公益財団法人関西交通経済研究センターは、関西圏における交通・運輸・観光等の発展と経済社会の発展に資するため、各種の調査研究事業を行っています。この懸賞論文は、「次世代を担う方々の叡智を通じて調査、研究の新たな切り口を発掘し、関西圏における交通・運輸・観光等の一層の発展と地域社会の活性化に寄与しようとするもの」という趣旨に沿った交通・運輸・観光等に関する論文で、『独創的でインパクトのある提案・提言』が求められます。

表彰式に出席された国土交通省近畿運輸局や関西の運輸・交通インフラの関係者の方々からも、大変意義深い今日的な研究内容であると評価いただきました。

授賞式の様子

優秀賞 堀 正樹さん(社会学部第3学年)

論題 「モビリティミックスの実現に向けたゲーム型MMの提案-京都府京丹後市での実践から—」

概要
今年度のプロジェクトでは、京丹後市において「交通すごろく」と「モビリティロゲイニング」の2つの市民向けイベントを実施しました。モビリティミックス(状況に応じて適切に移動手段を組み合わせて利用すること)の実現をめざし、公共交通を利用してもらえるような行動変容を促す仕掛けとして、誰もが取り組みやすいゲーム形式を考案、その成果と課題をまとめました。

コメント
「この度は優秀賞をいただくことができ、大変嬉しく思っています。今回の論文執筆は、ゼミ・プロジェクト内外のさまざまな方々にご協力いただいたからこそ遂行できたものです。これからも、人と人の繋がりを大切にしながら活動していきたいです。」

奨励賞 岡田紗奈さん(社会学部第2学年)

論題 「地域共創型モビリティ・マネジメントの提案─ソーシャルマーケティングを活用した公共交通の利用促進策─」

概要
今年度のプロジェクトでは、丹波篠山市で実施した路線バスとデマンド交通の利用促進を目的とした「乗車体験会」を実施しました。その活動成果をもとに行政や住民組織などのそれぞれのアクターの協働の仕組みづくりを論じました。
「第6回丹波篠山研究会」において、丹波篠山市「市長賞」を受賞した提案発表では、住民と一緒になって活動した成果を評価いただきました。そこから研究を進め、住民や行政担当者の行動変容や意識の変化を促す協働の枠組みを論じました。

コメント
「プロジェクトで地域と関わり合いながら研究と活動を進めたテーマで論文を発表し、奨励賞をいただけたこと嬉しく思います。本研究では丹波篠山市における公共交通利用促進のための情報提供(モビリティ・マネジメント)の実践をしています。市担当職員や地域内団体に複数回行ったヒアリング調査を通じ、地域の実態に即した政策提言になったと考えます。今後は、MMや大学が地域に入る効果について研究を進めていきたいです」

担当教員からのコメント

関西圏の交通経済に関わる次世代の研究者に向けた名誉ある賞を、本研究室の2人の学生に授与いただき大変光栄です。特に堀さんは、2年連続優秀賞という関交研はじまって以来の快挙とのことで、先行研究・政策資料の適切なレビューに加えて、交通すごろくやモビリティロゲイニングなどの活動で得られた知見をうまく言語化した点、そして当懸賞論文の趣旨でもある、まさに「独創的でインパクトのある提案・提言」であったという点が評価されたのだと思います。学生チームでの調査研究活動や、青年会議所・企業・自治体などの各アクターとの対話を経て、昨年度からの大幅な成長と研究の深まりも感じました。岡田さんは、第2学年ながらチームのリーダとして引っ張ってきた頑張りと、独創的な分析視座、また乗車体験会の企画運営やヒアリングで得られた現場からの知見が今回の研究成果につながったのだと考えます。政策研究交流大会の分科会優秀賞(団体での受賞)、丹波篠山市「市長賞」に次ぐ今年度3つ目の受賞で、政策提言・地域連携・学術的独創性といった各方面から評価をいただいており、今後の活動・研究の発展に期待しています。

コミュニティデザイン学科では、プロジェクト活動として学生自らが現地に足を運び、課題発見を通じて先進事例から学びを深めています。活動は、政策や実践現場でのチームとしての提言を目指し、「京都から発信する政策研究交流大会」(主催:大学コンソーシアム京都)などに出場しています。また、今回の受賞のように、具体的課題から学ぶことで学生個人の問題意識や研究につながっており、研究と活動実践の好循環がうまれています。(野村)

PROFILEプロフィール

  • 野村 実 講師 NOMURA Minoru

    博士(社会学)

    【研究領域・テーマ】 モビリティ/まちづくり/地域交通政策/コミュニティ