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2022年8月6・7日オープンキャンパス・大谷大学新聞社レポート

 大谷大学新聞社からオープンキャンパスの取材記事が届きました!ぜひご覧ください。
2022年8月6・7日 大谷大学オープンキャンパス・大谷大学新聞社レポート

厳しい暑さが続く中、8月6日(土)、7日(日)にオープンキャンパス(以下、OC)が開催された。今回は、大学院相談や、社会学部コミュニティデザイン学科の赤澤ゼミによるラジオ収録など、特別なイベントも開催され、多くの来場者で賑わいを見せた。
大谷大学新聞社はご参加いただいた方々に取材を行い、将来について話を伺った。

大谷大学の“人間学”

講義を行う藤元先生
講義を行う藤元先生

8月6日(土)、慶聞館2階のK206教室で藤元雅文先生による人間学のミニ講義が行われた。

大谷大学は、仏教精神に基づいた人間教育を行い、人間に関わる諸学問の研究成果を広く社会に公開するという「建学の理念」を元に、「人間学Ⅰ」という授業を行っている。
今回は、在学生たちに行っている授業の資料を元に「いのち」について話された。「食べなければ生きていけないいのち」と「食べられて終わるいのち」の2つがあることや、考えなくても生きていけるが、それを「考えて生きていくか」と「考えないで生きていくか」のどちらが良いかを考えること。そして、それらをきちんと考えるとはどういうことなのか。例えば児童が「いのち」について聞いてきた時にどう答えるべきなのかを考えることなど、人として生きる時に人間学という授業がとても大切な内容になる。簡単に答えることは出来ないが、人間が生きる上で出会う重要な問いに対して、学生同士が一緒に考えることを大切にしていく授業が大谷大学の人間学であり、人間が生きる上で重要な切り口を「仏教の智慧」を土台として考えていくための授業であると述べていた。
講義後に藤元先生にインタビューしたところ、人間学で行う授業を実際に高校生に感じてもらえるように今回のミニ講義をしたという。多くの人に来てもらえて驚いたと同時に一生懸命に聞いて貰えたので嬉しかった。これからも、人間学を教える時に、仏教精神に基づく人間教育として、一人ひとりの人生で出会う問いや課題と向き合って学ぶことや、それぞれの専攻に合わせて姿勢の大切さを知ってもらう授業を心がけていきたいと意気込みを語られた。

取材に応じてくれた林さん
取材に応じてくれた林さん

ミニ講義終了後、林 拓見さん(埼玉県 第一学院高等学校川越キャンパス3年生)に話を聞くことが出来た。人間学に興味があり、仏教の考え方をどのように仕事に生かすのかを聞くために今回のミニ講義に参加したという。人間学を学ぶ時に、仏教に対してどのような切り口で考えているのか、子どもとの問いと答えに対する活用や伝え方に合わせた視点があることを学ぶことが出来たと述べていた。もし大谷大学に入学したら、日本が将来直面する交通の問題に関して、都市部と過疎部の両方がある京都でこの問題への対策を探したい。そのために、大谷大学社会学部で交通に詳しい先生がおられるということがわかったので、その先生と話をしてこれからの交通の変化について考えていきたいと期待あふれる大学での学びについて語った。

取材担当
河合 翔平(教育学部教育学科初等教育コース 第2学年/滋賀県・河瀬高校卒業)

社会学とはどんな学問か

講義を行う徳田先生
講義を行う徳田先生

慶聞館のK102教室にて、徳田剛先生による社会学部現代社会学科と、鈴木寿志先生によるコミュニティデザイン学科のミニ講義が行われた。

まず徳田剛先生から、社会学とは何かということについての説明があった。社会学において指す「社会」とは、複数の人々が何らかの集まりやつながりを構成しているときに存在するものである。また、その社会を社会集団と社会関係の大きく二つの分類に分けることができる。前者を血縁関係や地縁集団、学校などのような制度的で「誰がメンバーか」はっきりとしている集まりである固い社会として、後者を恋愛関係や友人関係、大街道の通行人のように非制度的で複数の人々が社会集団ほどではないがある程度持続的にやり取りしているような柔らかい社会であるとした。そして、社会学とは私達の生活や社会で起きているさまざまな現象を、「人々の集まりやつながり」の視点からわかりやすく説明する学問であるとし、次に社会学の学びの特徴として、文献・新聞記事・統計資料を集めて調べ、調べたことやデータがどのような意味を持つか考えてまとめ、理解したことを的確に人に伝わるように発表するというような、社会でも重要な能力を大学4年間で身に付けることができると述べた。
最後に、現代社会学科とコミュニティデザイン学科のそれぞれの特徴について、現代社会学科はアプローチの仕方は問わず特定のテーマについての考えを深めること、そしてコミュニティデザイン学科は地域社会に寄りそうような仕方で課題解決を目指すことが特徴であると説明された。

講義を行う鈴木先生
講義を行う鈴木先生

ミニ講義の後半では、鈴木寿志先生によってコミュニティデザイン学科の説明が行われた。

はじめに3つのコースについてそれぞれの特徴や卒業後の進路について語られた。まず1つ目に地域政策コースは、地域の活性化や交通問題に取り組み、環境保全公務員やNPO団体員などが進路として挙げられた。2つ目の社会福祉コースでは、ボランティアや施設学習などに取り組み、福祉・介護などといった進路があると述べた。3つ目の情報メディアコースでは、プログラミング制作や動画制作、地域ラジオや情報誌制作などに取り組み、プログラマーなどが進路として挙げられると説明した。
次にマイクロプラスチックの問題について、講義が行われた。
京丹後市網野町の琴引浜の砂は鳴き砂と呼ばれている。このことから琴引浜は、歩くと音がなることで有名だ。この砂は冬の季節風の影響で日本海の荒波によって古砂丘の砂が洗われ、砂浜に再体積することによって粒が揃い、音が鳴るようになるのだという。しかし、近年ではそれと同時に大量のゴミも漂着することが問題視されている。コミュニティデザイン学科では、実際に現地に足を運んで学生と共にこの問題についての調査や研究を行なっているとのことである。その調査の例として、国籍ごとにペットボトルや空き缶を分別し、どの国や地域から漂着しているかを調べ、砂浜に漂着していたゴミのサンプルを採取し持ち帰っての研究を行うと説明していた。また問題の解決手段の模索も行われており、水の循環によって砂だけを振るい落とし、音波によるプラスチック片などの微細なゴミの除去などが実際の活動の様子と共に紹介された。
これらのプラスチック片は、5mm以下程度のものをマイクロプラスチックと呼ばれる。魚がそれらを食べることによる生態系への影響が考えられ、それよりも更に小さいナノプラスチックと呼ばれるものになると人間がプラスチックを消化・吸収してしまう可能性があるとして、環境問題だけではなく直接的な健康被害に繋がる可能性を示し、この問題の重要性と、このような答えのない課題に取り組むことが、コミュニティデザイン学科の特徴だと述べた。

取材に応じてくれた廣田さん
取材に応じてくれた廣田さん

ミニ講義終了後、廣田知さん(京都府・大谷高等学校2年生)に話を聞くことが出来た。「高校での授業と違い、実際に現地へ向かって活動することでより問題について実感を持ち、主体的に学ぶことができそうだと感じた。ミニ講義でマイクロプラスチックの問題について人間への直接的な害があると知ったことで、環境問題に対する意識が変わった。」と感想を語った。

取材担当
梶谷 篤樹(文学部哲学科 第3学年/京都府・朱雀高等学校卒業)

キャンパス見学ツアー

キャンパス見学ツアーの様子
キャンパス見学ツアーの様子

大谷大学のOCで毎回人気があるのがキャンパス見学ツアーだ。学生スタッフが、大学内の施設を実際に説明しながら案内し、来場者に大谷大学をより深く知ってもらうためのイベントだ。

キャンパス見学ツアーでは、慶聞館のグローバルスクエアや文藝塾、ラーニングスクエアなど、そしてパソコン室や情報サポート室、マルチスペースといった教室など、普段授業で使用している1階から4階をまわる。OC学生スタッフが、施設・教室の説明を、各学部の学びと結びつけて行っていた。響流館では、総合研究室や自習室、AVブースの使い方、博物館や図書館、コミュラボついて説明があった。中には、教室棟を建てた際に切った木材を使ってカフェや廊下にある木の椅子や机を作っていたことや、博物館で冬頃に学生が考えた展示を企画しているなど、在学生の記者でさえ知らない詳しい情報が満載であった。

取材に応じてくれた鎌田さん
取材に応じてくれた鎌田さん

キャンパス見学ツアー終了後、鎌田美緒さん(京都府・鳥羽高等学校3年生)に話を聞くことが出来た。家が近くで、1度行ってみたいと思い、自分で調べて今回のOCに参加したという。キャンパス見学ツアーに参加するまでは、大学の中に入ったことがなかったので、教室や様々な施設を知ることが出来て良かった。今回のキャンパス見学ツアーの中で1番印象に残っていたのは図書館に88万冊もの書籍等が所蔵されていることで、とても驚いていた。もし入学することが出来たら社会学部で福祉関係の仕事に就くための勉強をしたいとも語っていた。

取材担当
河合 翔平(教育学部教育学科初等教育コース 第2学年/滋賀県・河瀬高校卒業)

ラジオ番組「大谷大学ハッピーアワー」

収録の様子
収録の様子

8月6日(土)、慶聞館2階のK215教室で赤澤清孝先生のゼミで行われているラジオ番組「大谷大学ハッピーアワー」のインタビュー取材が行われた。

ラジオ放送が320回目となるこの番組は、北大路にあるFM87.0 RADIO MIX KYOTOで放送されている。番組は、OCにきた高校生、そして本学の学生、先生方に取材し、OCの印象や参加理由などを紹介していた。番組スタッフがこの取材の中で一番印象に残ったことは、ゲストの高校生がネットで知り合った初対面同志で、このOCをきっかけに会う機会ができ、仲良くなってくれたこと。こうした様々なきっかけをラジオで与えて行けるようにこれからも続けていきたいと語った。


ラジオの収録終了後、今回のラジオの担当である廣内たま美さん(社会学部コミュニティデザイン学科第3学年)と檜木勇作さん(同第2学年)に話を聞くことが出来た。2人は今回のラジオの取材を通して、高校生時代に参加していたOCを大切にしていた時の気持ちを思い出すことができたとのこと。このように、廣内さんは様々な人にお話を聞けるパーソナリティを務めることが一番の楽しみだそうだ。檜木さんは、元々ラジオが好きで将来ラジオ関連の仕事に就きたいと考えていたので、赤澤先生のラジオ制作がある大谷大学に入学した。実際に赤澤ゼミに入って、ラジオ局の方々と繋がり、実際に番組を持って欲しいという話もきたという。こうした繋がりや多くの経験を積んで将来ラジオ関連の仕事に就職できるようにこれからも頑張りたいと述べていた。
今回のOCで収録された内容は、「大谷大学ハッピーアワー」(FM87.0MHz)で8月11日木曜日19:05頃から19:30頃までのコーナーで紹介された。

取材担当
河合 翔平(教育学部教育学科初等教育コース 第2学年/滋賀県・河瀬高校卒業)

自分の不思議

講義を行う新田先生
講義を行う新田先生

8月7日(日)、慶聞館2階のK212教室で新田智通先生による文学部仏教学科のミニ講義が行われた。

今回の講義は、先生と参加された方が対話する方式で行われた。参加者が抱く仏教の考えを聞きながら、仏典と照らし合わせる形で取り組まれていた。仏典『ダマパンダ』に記された内容(例:「わたしには子供がいる。わたしには財産がある」と思って愚者は悩む。だが自分が自分のものではない。どうして子供が、またどうして財産が自分のものであろうか。)や「インド人の仏教僧とギリシア人の王の対話」を例に示しながら、ミニ講義のテーマである「自分自身について問うこと」について、参加者の考えや疑問を聞き、新田先生独自の見解を交えながら、話されていた。
また、仏教学科のアドミッション・オフィス入試について、試験内容や仏教学科が求める学生像についても説明された。参加者の進学希望を聞きつつ、仏教学を学びたい人へアドバイスを送られた。


ミニ講義終了後、A.Eさん(京都府、京都文教高等学校、3年生)に感想を聞くことができた。「この講義を通して、諸法無我(「一切の事物は我ではない」というブッダの教えの一つ)を知り、今の自分を知ることが大事だと思った」とのこと。また、大谷大学のOCに来た理由を尋ねると、「仏教学科があり、家から近く、大学の建物が綺麗だから、志望校の一つにしている」と回答。仏教学を学びたい理由は「高校で仏教を学び、そこから関心を持った。特にインド仏教に関して学びたい」と意欲を示していた。

取材担当
藤原 尚子(文学部文学科 第2学年)

子どもの遊びと玩具—リカちゃん人形の秘密

講義を行う川北先生
講義を行う川北先生

慶聞館のK204教室にて、川北典子先生による教育学部教育学科幼児教育コースのミニ講義が行われた。

今回の講義内容として先生は、幼児教育の中で出てくる児童文化、中でも「遊び」については、子どもの心の栄養となるものであると説明した。「遊び」というものは発達の源泉として子どもに必要なもので、「身体的、運動的機能の発達」、「思考力の発達と知識や技術の習得」、「社会認識及び態度の獲得」、「言語能力の獲得」、「想像力、想像力の発達」、などの5種類の発達に関わっている。そのため、明治時代から子どもには「遊び」を中心とした生活が必要だと言われていた。遊び環境の変化として、現在は情報網の発達があげられ、時間・空間・仲間・自然・伝承が減ってしまったり、同じような遊びになってきたりしているため、問題解決の糸口として、自分自身の小さい頃を振り返りの中から見つけてもらうことが大切だ。
子どもと遊びの関係性、遊び環境の変化がある中で、いつの時代も変わらない、遊びを豊かにするための玩具がある。その例がリカちゃん人形だ。リカちゃんは、子どもと友達目線での着せ替え人形として作られ、誰でも安全に遊べるおもちゃである。長年愛されている秘訣は、ファッションやスタイル、そして家族構成までも時代背景や社会の変化を反映し続け、進化している点だと述べていた。
講義後に川北先生にインタビューしたところ、「このミニ講義を通して、幼児教育の基本となる知識を知って欲しいということと、子どもの成長を支えるおもちゃについて説明した。少しでも興味を持って色んなことを学んで欲しい。」また、「この講義に参加して下さった学生達が熱心に聞いている姿を見た。是非とも入学してほしい。今後の授業では、実際に将来役に立つ知識を身につけて貰うためにも、基礎的な理論をしっかり学んで実践できるような人を育てていけるようにしていきたい」と熱意を語っていただいた。


ミニ講義終了後、小山夏穂さん(大阪府 大阪学芸高等学校2年生)に話を聞いた。「将来、音楽の教師になりたいと考えていて、教育学部のある大学を調べている中で、大谷大学に興味を持ったのでOCに参加した。在学生のスタッフからこのミニ講義があることを聞き、参加した。」ミニ講義を受けて、「教えることの大切さと、遊び=発達の語源であるということが印象に残った。」「もし大学に入学したら、将来の夢である音楽の教師に繋がるように学んでいきたい。」と希望を語ってくれた。

取材担当
河合 翔平(教育学部教育学科初等教育コース 第2学年/滋賀県・河瀬高校卒業)

大学院相談

説明を行う村山先生
説明を行う村山先生

慶聞館1階にて、大学院相談を行っていた村山保史先生にインタビューに協力していただいた。インタビューでは大学院の概要を中心にお話を聞くことができた。

はじめに大谷大学大学院でどのように学ぶのかを話していただいた。大谷大学大学院は大学と同じように講義等がある。しかし、大学院と大学の特筆すべき違いは少人数だということだと話された。ゼミをはじめ、講義や演習も大学に比べ、より少人数で行われる。また、論文指導といった、先生と学生が一対一で行われる授業もある。
前述したような少人数制の授業以外の特徴として、他分野、他大学との交流が挙げられる。自分の専攻だけではなく、異なる分野を覗くことによって、違う見方ができるようになるといった意図が込められている。また、同じように、提携している他大学(大谷大学大学院の場合は「京都・宗教系大学院連合/K-GURS」)のセミナーや講義を一つの単位として受講できる、といった制度もある。
大学院での学びは少人数制でより濃密になる一方、他分野を広く学ぶ機会もある。様々な専門分野が学べ、自分の専攻を深められる大学院を進路の一つとして検討してみてはどうだろうか。


大学院相談を受けていた古賀彩華さん(大谷大学文学部歴史学科第3学年)にもお話を聞くことができた。古賀さんは将来学芸員になるために大学院進学を目指している。歴史や博物館の魅力を自分が感じるように、子どもたちにも伝えたい、といった理由を挙げられていた。「様々な種類の博物館や文献を見た方がいい」とアドバイスされたそうで、そこに力を入れていきたいとも話されていた。

取材担当
清水 和真(社会学部コミュニティデザイン学科 第1学年/和歌山県・きのくに国際高等専修学校)

編集後記

2日間に渡るOCでは、多くの高校生や保護者の方に来ていただき、賑わいを見せた。自身の進路の方向性をしっかり持っていて、その進路に向けて自ら進んでいく様子は、夏の陽射しにも負けない輝きを持っていた。
次回は9月4日(日)にOCが行われる。大谷大学新聞社では、今後とも大谷大学の情報を様々な形で発信して行きたい。

大谷大学の「今」を発信する。

大谷大学新聞社