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2022年7月3日オープンキャンパス・大谷大学新聞社レポート

 大谷大学新聞社からオープンキャンパスの取材記事が届きました!ぜひご覧ください。
2022年7月3日 大谷大学オープンキャンパス・大谷大学新聞社レポート

先日の快晴から一転、あいにくの天気の中、7月3日(日)に今年度3回目のオープンキャンパス(以下、OC)が開催された。今回も午前の部と午後の部の二部制で行われ、コロナ下の最中ながらも賑わいを見せた。
大谷大学新聞社は参加してくれた方々に取材を行い、将来について話を伺った。

『人と人との関わり合い』から見える世界

講義を行う小川先生
講義を行う小川先生

慶聞館2階のK211教室にて、小川直人先生による人間学ミニ講義が行われた。
人間学とは、大谷大学が全ての学生に、ブッダと親鸞聖人について学んでもらうことで、仏教とはいかなるものかということを教えるために必修としている科目である。人間学は、どのように教えるかが教員によって様々なのだが、今回、小川教授は「人と人との関わり合い」に着目して講義をしてくださった。
いわく、「人は、人との関わり合いの内に『自分』を見る」と言う。そして、その「自分」が心地良ければ対象の事が「好き」、そうでなければ「嫌い」となる。これは、人間に限った話ではなく、例えば勉強や経験でも同じ事が言える。では、嫌な勉強や経験は果たして「無駄」なのだろうか。
小川先生は、そうではないという事を示すために、『鬼滅の刃』の作者である、吾峠呼世晴氏を例に上げて説明した。
今でこそ空前絶後の評判を誇っている吾峠氏だが、それ以前はあまり人気であるとは言い難く、辛い経験も沢山してきたはずである。その経験を通して掴んだものが、「頑張ってる人を踏みつけにするな」や、「一つの呼吸しかできないなら、その一つを極めたらいいじゃない」など、『鬼滅の刃』の作中のセリフの中に現れているのではないか、と語った。
このように、私達が「悪い」と思っている経験こそが、実は私達の力になる事がある。これを、小川先生は「異熟」という仏教の言葉を用いて説明していた。

しかし、頭では「悪いこと」も自分の力になると分かっていても、いざ未来の事となると、どうしても不安になる。そんな私達に対して、仏教は「善いことも悪いことも、全てが人生を豊かにする糧となる」ということを教えているという。
小川先生は、「ブッダも親鸞も、人と関わる事で自分を見つめ直したはず。そのことを、大学での人間学の講義で学んで、是非人との関わり合いの大切さを感じてほしい」と述べた。

取材に応じてくれた鈴木さん
取材に応じてくれた鈴木さん

ミニ講義終了後、鈴木和さん(静岡県 磐田東高等学校 3年)にインタビューにご協力いただいた。このミニ講義を取ろうと思ったきっかけは、テーマに惹かれたからだと教えてくれて、「皆が知っている『鬼滅の刃』を出して聞く姿勢を作らせたのが上手いと思った」と、講義に対しても肯定的な感想を伝えてくれた。京都の文化財に興味を持ったのだという彼は、歴史学科を目指していると言って、「周りの文化財を通して学びを深めたい」と、決意を語ってくれた。彼が、今回のミニ講義を通して、人と人との関わり合いの大切さに触れ、そこから得たものを、これからの学びに生かしてほしいと思う。

取材担当
北村 もえ(文学部哲学科 第1学年/大阪府・大阪国際大和田高校卒業)
濱田 彩希(文学部歴史学科 第2学年/三重県・相可高校卒業)

理科好きな小学校教員になろう

講義を行う谷先生
講義を行う谷先生

慶聞館2階のK203教室で谷哲弥先生による教育学科初等教育コースのミニ講義が行われた。
今回の講義内容として、谷先生が担当している授業や探究ゼミでのお話を中心にすすめられた。第1学年では、シンプルな問いを通し、小学校で習った理科の内容をじっくり振り返ることで自分の知識の整理をすること、第2学年では少人数で授業を構想し、実際に短時間の模擬授業をおこなって見解を深めること、第3・4学年では探究ゼミでより深く研究をしていくということなど、大学で行う理科について丁寧に述べていた。また、理科室には現在でも使われている教科書や、様々な実験を行うための道具や材料が置いてあり、理科の教師になるための多くの支援が出来ると述べていた。

講義後に谷先生にインタビューしたところ、例年は初等教育コース全般の話をしているとのことだが、今回からは先生の担当である理科に絞ってのミニ講義にしたとのこと。実際に理科室で飼っているメダカやアゲハチョウの写真などをもとに、教育学部の理科ではどんなことを学び、どのような方法で授業をしているのかを丁寧に説明することで、自分で考えを深めていく。また、実際に先生が飼っているアゲハチョウを見せて、雄と雌の見分け方や、実際に見てみての感想を述べていた。今回の講義で伝えたいことは、身近な自然に関心を持って理科好きの先生になってほしいということと、振り返りをすることで、意見の整理や意見交換をしやすく、自分で学びを深めていく時間を増やし、色々な世界を広げていってほしいということである。

取材に応じてくれた川副さん
取材に応じてくれた川副さん

ミニ講義終了後、川副瑞希さん(滋賀県 光泉カトリック高等学校 3年)に話を聞くことが出来た。子どもが好きだからと言うことと、姉が大谷大学の学生であることもあり、大谷大学の教育学部の初等教育コースに入りたいと思い、どのような授業をするのかのイメージをつけるために今回のミニ講義に参加したという。ミニ講義を受けて、今回の講義のような深い学びを意識した先生になりたいと述べていた。もし大学に入学したら、1年生からボランティア活動に積極的に参加して、子どもと多く関わって教育者としての学びを深めたいと述べていた。

取材担当
河合 翔平(教育学部教育学科初等教育コース 第2学年/滋賀県・河瀬高校卒業)
濱田 彩希(文学部歴史学科第2学年/三重県・相可高校卒業)

心理学における無意識とは

講義を行う谷口先生
講義を行う谷口先生

慶聞館2階のK203教室にて、谷口奈青理先生による哲学科のミニ講義が行われた。先生は臨床心理学、心理療法、悩みと成長といった分野を研究領域としている。ミニ講義ではまず、文学部と哲学科に関する説明が行われた。本学は文学部において求める人物像として、物事について時間をかけて考察し、自分の考えをまとめることができ、人間に関して自発的な関心から思索する意欲等をもつ人物を求めると語った。哲学科においては、人間の認識や世界のあり方、心理、倫理、宗教といった哲学的諸問題を粘り強く論じる論理的思考力と、自分の考えを的確に表現する文章力を身につけていること、さまざまな問題に関心を持ち、他者と意見を交わし考えを客観的に見直し深めていくことに意欲を持つこと、本学科のカリキュラムを理解し学ぶ目的をはっきり持っていることを求める人物像とした。また、哲学科において学習する内容として、私とは何か、世界とは何か、というような人間や世界に関わる根本的な問題を、東西の思想伝統を継承した上で考察し、柔軟な視点と論理的思考力を培った上で現代の諸問題へ対処できる人物の育成を目指すと説明した。これらのことから読書が好きであることも、哲学科を志す上で重要な要素として挙げた。

文学部・哲学科についての説明終了後、心理学とはどのようなものであるか、またその分類についての説明が行われた。心理学とは「人の心について研究する学問」であり、人間一般の心の動きのクセや傾向を考える学問であると説明された。また心理学は、個人の心を読むものではないこと、特にメンタリズムのように心を読むといったものではないことを強調していた。次に、心理学はアプローチの方法によって様々な種類に分けられ、例えば「臨床心理学」はこころの病・悩みについて、「社会心理学」は社会集団での人の行動の調査・実験についてであるとされた。また社会心理学における対人距離の例として、鴨川に座るカップルについての調査を挙げられた。調査によると鴨川に座るカップルは2m程の等間隔で座っており、その間に誰かが座ると両隣のカップルは自然に離れていくという結果が得られたという。最後に心理学における無意識について説明された。心理学においては自分では気づいていない心を「無意識」と呼び、表層的な部分である「意識」から深層の部分である「無意識」を知ろうとするとした。いわく「無意識」とは、心全体において意識よりも大きな体積を占めており、例えばどこかへ「行きたい」という気持ちが100あったとして、無意識に1の「行きたくない」という気持ちがあれば「行きたい」という気持ちを「行きたくない」という気持ちが上回ることもあると語った。

ミニ講義終了後、K.Kさん(京都府 京都明徳高等学校 3年)に取材を受けてもらうことができた。哲学科のイメージは講義を受けたあとも変わらずに面白かったと述べていた。卒業論文の字数が2万字程度書く必要があると聞いて驚いていた。何がしたいのかがまだ決まっていないと話していたが、このオープンキャンパスに参加したことで少しでもこれからの人生の方針が決まっていく糧になればと願うばかりである。

取材担当
梶谷 篤樹(文学部哲学科 第4学年/京都府・朱雀高校卒業)
吉村 和滋 (文学部哲学科 第4学年/大阪府・北かわち皐が丘高校卒業)

編集後記

今年度3回目となるOCでは、多くの高校生と保護者の方が訪れ、大いに盛り上がった。高校生の方に取材していく中で、それぞれの夢や思いに触れ、新たな刺激をもらうことができた。大谷大学新聞社では、今回のOCから新しい体制で取材を再開することになった。それでも、これまでと変わらず大谷大学新聞社として大谷大学の情報を発信していきたい。

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