国際文化学科を選んだのは、語学や韓国のアーティストに惹かれていたからです。入学して、授業で多様な価値観にふれたことで、韓国や朝鮮の社会問題にも関心が高まり、自分の意識が大きく変化してきているのを感じます。将来の目標がはっきりしている人はもちろん、私のように最初は漠然としていても、知的好奇心がくすぐられて学びを深めていけるのが、大谷大学の大きな魅力ですね。

異文化のリアルにふれられる

第2学年になるとコースに分かれ、より専門的に学びを深めていきます。私が選んだのはアジア文化コース。履修している喜多恵美子先生のゼミでは、さまざまな視点から韓国・朝鮮をとらえ、学生どうしで議論することも多いので、自分の意見を発表する積極性と、人の意見を理解する力が身につき、多角的なものの見方ができるようになりました。
ゼミの授業で印象に残っているのは、韓国の現代社会の問題です。日本と同じように少子高齢化が進んでいること、日本以上に学歴がないと就職できない厳しい現状を知り、私のまわりでも起きている身近な話題だったこともあって、リアリティを感じながら考えを深めていくことができました。私たち学生が興味をもちそうな話題をきっかけにテーマを深掘りしていくので、「もっと知りたい」という気持ちが自然に湧いてくるんです。

フィールドワークも盛んで、京都朝鮮中高級学校の文化祭に参加したり、京都芸術センターでの「ケソン工業団地」の展覧会を見に行ったり、座学で知識を吸収するだけではない、生きた学びができることも魅力ですね。
国際文化学科というと留学するイメージが強いと思いますが、勉強熱心で学生どうしの交流が盛んな大谷大学では、日本にいながらでも異文化や語学を学べるんです。韓国に留学した人からリアルな話を聞いて、自分も韓国旅行で感じたことを話したり、ディスカッションしたりすることで、体験がことばとして自分のものになっていく。授業はいつも、驚きや発見の連続です。

多様な入り口から専門の学びへ

カンヌ国際映画祭で韓国映画初のパルム・ドールを受賞した映画「パラサイト」を題材にした学びも新鮮で、日本と韓国の視点の違いについて考えさせられました。作品はフィクションですが、そこに描かれている状況は韓国のリアルだと聞いて、実際に映画を見たくなり、映画館に足を運びました。ゼミでの話を思い出しながら鑑賞すると、ストーリーの巧妙さだけではなく、韓国の格差社会の問題がくっきりと浮かびあがってきて驚きました。
入り口は映画だったり、堅苦しくないものだったりしても、そこからどんどん考え、専門的な知識につなげることができる。そういう仕掛けを、大学や先生がたくさん準備してくれています。
最近、福祉やカウンセリングの勉強も始めたのですが、海外の多くの国で少子高齢化が進み、介護業界でもグローバル化が進んでいる現状を知って、語学や異文化を学ぶことの重要性を感じています。これからの時代は、さまざまな場面で違う文化をもつ人と出あう機会も増えますが、自国の文化を知ってもらい、相手の文化や歴史的背景への理解も深めていきたいと思っています。

違った価値観を認める

大谷大学、特に国際文化学科の授業は、違いを認める本当の意味に気づかせてくれるんです。これまでは、人は一人ひとり違った考え方や価値観があり、それを理解したうえで接し、支えていくことが「寄りそう」ことだと思われがちです。でも、それだけではなく、特定の国に対する排外主義や攻撃的な風潮もある中で、あらゆる暴力に対してNOといえること、世の中の矛盾に真摯に向きあうことも「寄りそう」ことだと、国際文化学科の学びの中で知りました。大谷大学で身につけているのは、分野を超えて基本となる考え方やものの見方。自分がどんな道を歩んだとしても、必ず生きてくると信じています。

PROFILEプロフィール

  • 坂東 千歌

    文学部 国際文化学科 第4学年

    ばんどう ちか
    滋賀県・八日市高等学校卒業
    2018年4月大谷大学文学部国際文化学科に入学。
    フィールドワークをはじめとする、本学でのさまざまな生きた学びに取り組んできた成果もあり、韓国語も日常会話レベルの聞き取りは出来るようになった。
    卒業後は介護福祉施設に就職予定で、国際文化学科での学びを生かした活躍が期待される。