主に社会保障分野を研究。一見難しそうな制度も私たちの人生の安心を支える身近な仕組みだと捉えることで理解が深まります。中学から続けているスポーツが自信や誇りになり、定期開催の研究会が仕事のやりがいに。動画視聴やラーメンもリラックスの秘訣です。

鎌谷 勇宏
社会学部 コミュニティデザイン学科 社会福祉学コース 准教授

先生のA面

人々の生活がどう支えられているのか

Q. いま取り組んでいる研究はどんな内容ですか?

A. 私の研究は、社会保障や社会政策を通じて人びとの生活がどう支えられているかを明らかにすることです。特に関心があるのは、生活困窮に陥ってから救済するのではなく、困窮に陥る前に生活を安定させる予防的な取り組みを研究しています。

Q. 先生の研究は私たちの暮らしにどう関わっていますか?

A. たとえば、年金や医療保険、児童手当などは別々の制度ですが、生活支援という視点から見れば、最低生活の保障、病気や失業時の困窮予防、子育てや高齢者支援など、いくつかの役割に整理できます。私はこれを「生活保障ライン」として捉えて、社会保障の発展を研究しています。難しそうな社会保障制度ですが、実は私たちの人生の安心を支える身近な仕組みです。

制度を整理し、立体的に変えていく

Q. 「この分野はおもしろい!」と感じるのはどんな瞬間でしょうか?

A. 一見バラバラに見える制度でも、視点を変えるとつながりが見えます。年金、医療保険、生活保護など授業では別々に学ぶものでも「人々が生活に困らないようにする」という点では、暮らしを支え合う仕組みだと理解できるからです。関係する制度を整理し、平面地図を立体的に変える作業におもしろさを感じますね。社会保障を学ぶことで社会が「何を守り、何を支えきれていないか」が浮かびあがり、 自分や家族が安心できる社会を考えるおもしろい分野です。

Q. 学ぶ中で、学生が「成長する(化ける)」のは、どんなときでしょうか?

A. 学生の大きな成長を実感するのは、多くの社会課題を「他人事」ではなく「自分や家族の将来にもつながる問題」として理解してくれた瞬間です。社会保障や福祉の制度は、最初は法律名が多く難しく感じるかもしれません。しかし、病気や失業、育児、親の介護など、人生のあらゆるシーンで関係していきます。

Q. 学生が成長すると、何が大きく変わると思いますか?

A. 授業での学びが「自分事」に変わると、学生の発言や記述が大きく変化します。単に困っている人を助けるという理解から一歩進み、「なぜ困るのか?」「どこに制度の隙間があるのか?」を自ら考えるようになるのです。知識を単に覚えるだけではなく、自ら課題に気づき真剣に考えるようになったとき、学生は頼もしく「化ける」と感じています。

幅広い進路につながる3つの力

Q. この分野を学ぶと、どのような力が身につき、どのような職業・進路につながると考えますか?

A. この分野では、3つの力が大切です。1つ目は、「トータルで考える力」。中〜長期的な視点や家族・社会まで視野を広げた思考力です。2つ目は、「安定と安心を知る力」。生きていくうえでの困難に対する社会の準備を知り、生活の安定と安心を学べば前向きになれます。3つ目は、社会福祉士の「考え方と専門知識」。資格取得や社会福祉分野をめざす学生には、社会保障制度の知識と同等に、その考え方の理解も不可欠。気兼ねなく周囲に頼れる社会をどう準備するか。生活困難を事前に予防する重要性などを学んでほしいです。その考え方が社会福祉士、公務員、医療機関、福祉施設、企業の営業・人事・労務など、人々を支える幅広い進路につながります。

先生のB面

人と本の縁に導かれ、社会保障分野へ

Q. 先生の研究テーマを選ばれた理由や、研究の少しマニアックなおもしろさを教えてください。

A. 私はもともと「教育タイプ」で、実は専門分野へのこだわりがありませんでした。しかし、たまたま学んだ社会福祉分野で出会った先生や先輩、憧れた著書に導かれ、社会保障分野が専門に。最近の研究テーマも、2名の研究仲間から強烈な影響を受けたものです。こうした「人の縁」と「本の縁」が、今の私をここに導いてくれました。マニアックさは分かりませんが、私の研究を紹介したときに受講生が興味を持ってくれると嬉しく、こころの中でニヤッとしています。

Q. 先生の学生時代はどんなことに熱中されていましたか?

A. 大学時代は体育会の部活動に所属し、3年次後期から4年次前期には主将として練習に試合に情熱を注ぎました。当時は勉強に疎く、現在の学生への指導にはいつも自分への反省を込めています。しかし、大学院で進んだ福祉分野では、朝から晩まで必死に勉強し、かなり頑張りました。大学卒業から20年以上が経ちますが、今も続く大切な友人関係は、この部活の先輩後輩や大学院の研究仲間です。一緒に頑張った関係や「絆」は、本当に強く深いものだと実感します。

大好物のラーメンと、仲間との研究会でやりがいアップ

Q. 普段の趣味、ハマっているもの、好きな食べ物、音楽など、先生を元気づけるものを教えてください。

A. 動画配信サービスの視聴がリラックスには最適です。また、アニメや映画もよく見ています。元気の源はラーメンで、最後の晩餐候補になっています。夜中に家をこっそり抜け出して食べに行くことも。また、大学まで続けたスポーツは私の自信や誇りになっていますし、仲間と月2~3回開催する研究会は、仕事のやりがいを高めてくれています。

倒れそうなときでも前のめりで進みたい

Q. 座右の銘は何ですか?また、いま学生だったら、どんなことに注力して学んでいきたいと考えますか?

A. 座右の銘は「倒れるときは前のめり」 です。これは私が深く尊敬する人生の師匠から贈られた大切なことばです。20代の頃、思うような人生を歩めずにもがいていた私に、師匠は「倒れそうなときでも前に進もうとするところが良い」と言ってくれました。このことばがどんな時でも耐え抜ける強力な拠りどころになりました。もし私が今の学生なら、幅広い人間関係を築くことに注力したいですね。生涯付き合っていける「大切な友人」や「尊敬できる人生の師匠」を見つけ、ともに過ごす時間をたくさん作りたいと思います。

PROFILEプロフィール

  • 鎌谷 勇宏 准教授

    社会学部 コミュニティデザイン学科 社会福祉学コース 准教授

    【専門分野】
    社会福祉学(社会保障論)

    【研究領域・テーマ】
    社会保障/医療・福祉政策/社会保障史

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