みんな尊い
ー生まれてきてくれてありがとー

現代の様々な問題の中で最も深刻な問題は、加速化し続ける少子化問題ではないか。2024年の出生数は初めて70万人を割り、約68万人。2025年はさらに進み約67万人であり、10年連続で過去最低を記録し続けている。この急速な少子化は国の予想より17年も早い。

今後の日本の総人口は、2050年には1億人を割り、2100年には約3,700万人程度になるとも予想されている。そして経済基盤は脆弱化し、様々な経済・社会活動を維持することに深刻な事態が顕在化するといわれている2030年は、もう目前である。

この急速な少子化が招く事態は、深刻で生きづらい社会になることをみんな望んではいない。しかし一向に回復傾向は見られないし、むしろ加速化している。みんな生きづらい、不便な、そして経済的に不安定な社会になることを望んでいないのにである。その危機感から、労働力としての「人」、社会を営む担い手としての「人」が生まれてくるために、様々な少子化対策が講じられているが、全く効果を上げていない。

様々な施策を講ずることはとても大切であるが、もっとシンプルで、大切なことを忘れていると思う。それは「子ども」は尊い存在であるということである。確かに子育ては大変なことも多い。思い通りにもいかない。そんなことは当たり前である。なぜ思い通りにならなければいけないのか。子育ては私たち自身の「存在」と向き合う営みであり、「子ども」という存在をとおして、私たちみんなが、あらゆる存在が尊いということに気づいていく営みではないか。しかし、このことに気づいていくことは難しく、わからない。

私たちが学ぶ大谷大学には、あらゆる「いのち」が尊いということ、生まれてきたことは素敵なことだと気づいていく学びがある。「生まれてきてくれてありがと」と互いに確かめ続ける場が大谷大学に開かれているのだと思う。

PROFILEプロフィール

  • 冨岡 量秀 教授

    【専門分野】
    真宗学/真宗保育/ 幼児教育学

    【研究領域・テーマ】
    真宗保育/幼児教育学/保育内容・環境/環境デザイン