世代をつなぐ長寿アニメ

ちょっと前まではアンパンマン(アニメ開始1988~)、しまじろう(1993~)、現在はクレヨンしんちゃん(1992~)、ゲゲゲの鬼太郎(1968~)、サザエさん(1969~)。これらが我が家で頻繁に流れているアニメ(サザエさん以外は動画配信サービス)である。すべて2020年生まれの子どものお気に入りアニメであるが、これらは私(1981年生まれ)が幼少期に見ていたテレビアニメでもある。30年以上の時を経て親と子が同じアニメを見るなんて、当時の私には想像もできなかったことである。

ただし、アニメの内容は時代に合わせてアレンジされている。例えば、ゲゲゲの鬼太郎第6期(2018~)の第1話では、初めてスマホの存在を知った目玉おやじが驚くシーンがある。また、スマホやテレビなどの電化製品だけでなく、登場人物のキャラクターデザインの変化もおもしろい。ゲゲゲの鬼太郎のねこ娘の変化(特に第6期)は劇的なので、興味があればネット検索してほしい。作品の基本設定を大切にしながらも、時代に合わせて視聴者が楽しめるように工夫されているのだろう。時代を超えて愛される長寿番組のすごさである。

長きにわたって私たちを楽しませてくれる長寿アニメは世代をつなぐ架け橋にもなっている。我が家で言うなら、子どもと祖父母のコミュニケーションが長寿アニメによって成り立っている。子どもの話す内容によっては、祖父母がよくわからず「うん、うん、」と頷くだけのことが多いが、長寿アニメの場合は対等なやり取りができたりする。子どもと高齢者を同じ土俵に立たせてくれる長寿アニメは非常にありがたい存在である。この面からすれば、テレビでのスポーツ観戦、トランプや将棋などのゲームも類似であろう。

私が専門としている社会保障分野(医療、年金、子育て支援など)では、世代間格差が問題視され、世代間対立が発生してしまっている。社会全体を見渡しても、世代を分断する事柄が多いことに比べて世代をつなぐ事柄は少ないように感じる。これからも長寿アニメがさらに長寿となり、幅広い世代をつなぎ続けてくれると心強い。

PROFILEプロフィール

  • 鎌谷 勇宏 准教授

    【専門分野】
    社会福祉学(社会保障論)

    【研究領域・テーマ】
    社会保障/医療・福祉政策/社会保障史