真宗総合研究所東京分室 公開シンポジウム
「書くこと」を通して宗教と社会を考える—語りえないものを「書くこと」の意義に着目して—

INFORMATION

  • 日程
  • 時間

    14:00~17:20

  • 会場
    大谷大学響流館3階メディアホール
  • 参加費
    無料(事前申込制)
  • 対面にて実施いたします。(Webでの動画配信もいたします)

標記の公開シンポジウムを以下の通り開催します。
なお、本シンポジウムは対面・オンライン(Zoomウェビナー)のハイブリット方式にて実施いたします。

公開シンポジウム概要

本シンポジウムでは、「書くこと」に焦点を当てて、宗教と社会のあり様を再考します。単に「書くこと」と言っても、そこには個人の行為にとどまらない一面があり、伝えられた「ことば」を書き写すことや、書き手自身が自己と対話する過程も含まれます。語りえないものを書くことに対する葛藤もあるでしょう。また「書くこと」を通して、モノとしての書物、テクストが誕生します。モノとなった書物は、時代や地域を越えて他者に読まれ、書かれ、再生産されることによって、時代や地域に限定されない新たな関係を生む媒体となっていきます。

「書くこと」は、上記のような特性を持つがゆえに、宗教においても多様な意味合いを持つようになりました。仏教では、老病死の苦しみを課題とした釈迦の「ことば」が、後に経典となり、その過程において、大乗経典では経巻の書写が推奨され、仏陀の「ことば」を「書くこと」に意識が向けられていきます。イスラム教では、「イラン革命のイデオローグ」とされた宗教的知識人アリー・シャリーアティー(1933–1977)が「書くこと」は孤独や痛みの境地の中で自己と向き合い語ることと述べ、書くことを通して文化「伝統」を超えうる言葉の連鎖を生み出しました。また聖書の解釈学では、ガダマー(1900–2002)やリクール(1913–2005)が、読み手が自己の文脈においてテクストを解釈し、さらにテクストに参与していくことに着目しています。

今回のシンポジウムでは、「書くこと」がどのように宗教や社会と関係しているのかを問いとして、とりわけ宗教的な「ことば」を「書くこと」がどのような営みなのか、さらには、いかなる場合に宗教的な行為となるのかについて議論を重ねていきます。語りえないものを、「語ること」ではなく文字で「書くこと」の意義に着目することで、このような問いの解像度を上げることが本シンポジウムの目的です。

登壇者及びタイムスケジュール

14:00~14:05 開会の挨拶:廣川智貴(大谷大学真宗総合研究所長)
14:05~14:10 企画主旨(登壇者の紹介)
14:10~14:30 澤﨑瑞央(大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員)
「経典の書写と信仰:ブッダのことばを書く意義に着目して」
14:35~14:55 岡田文弘(身延山大学 仏教学部 文学・芸術専攻 特任講師)
「「書くこと」から「生まれること」:『法華経』の周辺を探りながら」
14:55~15:10 休憩
15:10~15:30 村山木乃実(独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD(東京大学))
「自己に向けて「書くこと」:現代イラン宗教的知識人による宗教の再解釈」
15:35~15:55 鍵谷秀之(同志社大学神学部特別任用助手)
「「語りえないものを語る言葉」を実証的に書きうるか:解釈学的考察」
15:55~16:10 休憩
16:10~16:30 コメント:箕浦暁雄(大谷大学文学部仏教学科教授)
16:30~17:15 リプライ・質疑応答
17:15~17:20 閉会の挨拶:後藤晴子(大谷大学真宗総合研究所東京分室長)

参加申し込み

2月25日(火)締め切り

  • 開催日時
    2025年3月2日(日)14:00~17:20
  • 場所
    大谷大学響流館3階メディアホール
  • 参加費
    無料(事前申込制)
  • 登壇者
    岡田 文弘(身延山大学 仏教学部 文学・芸術専攻 特任講師)
    村山 木乃実(独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD(東京大学))
    鍵谷 秀之(同志社大学神学部特別任用助手)
    澤﨑 瑞央(大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員)
  • コメンテーター
    箕浦 暁雄(本学文学部仏教学科教授)
  • 実施方法
    本シンポジウムは対面形式にて実施いたします。Webでの動画配信もいたします。
  • 備  考
    シンポジウム終了後、意見交換会を行います。(要事前申し込み)