研究内容

仏教学/古代インド仏教思想研究

古代インドの言語で書かれた仏典のみならず、チベット語や漢語に翻訳され今日まで伝えられてきた仏典をも手掛かりに仏教教理を分析し、その意味を問い直すことを研究課題として位置付けています。具体的には、五世紀頃インドに登場した思想家ヴァスバンドゥの『倶舎論』をはじめとするアビダルマ文献の解読研究に取り組みながら、仏教思想の様々な問題を明らかにすることを目指しています。

ゼミ紹介

仏教学科

自分にとって最も大切なものが、確かだと思っていたものが、失われたら、そしてどうにもならないような苦しみに襲われたとしたら、心豊かに生きていけるだろうか。その苦しみの原因は何であろうか。この仏教の中心課題に取り組んだ思想家たちは、さまざまな視点で思索した結果を膨大なテクストとして残してきました。サンスクリットやパーリ語で書かれた古代インド仏教の書物は難解だけれど、思想家たちが書きとめた数々の驚くべき言葉にふれ、生涯かけて問わなければならないような問題を考えてみたいと思います。

主な担当授業科目

【院】仏教学特殊研究(演習)/大乗仏教入門/仏教学演習/臨床フィールドワーク

所属学会

日本印度学仏教学会/日本仏教学会/東方学会/日本チベット学会/日本宗教学会/International Association of Buddhist Studies 他
 

経歴・活動歴

2002年大谷大学文学部助手、2003年学位取得 博士(文学)、2005年大谷大学講師、2011年大谷大学准教授、2019年大谷大学教授、現在に至る。

主要著書・論文

論文

  • 「スティラマティ『五蘊論釈』和訳: 行蘊(1)」
  • 「『順正理論』における心心所法の共存論証」
  • 「説一切有部における倶有因の定義」
  • 「分位縁起の正当性に関する『順正理論』の議論」
  • 「ヴァスバンドゥは分別(vikalpa)を三種類と見なすか-スティラマティとヤショーミトラの解釈-」
  • 「増上緑から能作因へ」
  • 「苦悩の物語に対面すること—仏教学と社会的実践について語る視点—」
  • 「経と論—仏陀の言葉を受けとめるということ」
  • 「アビダルマにおける受蘊の規定」
  • 「スティラマティ『五蘊論註』にみられる信(śraddhā)」
  • 「新出梵本『俱舎論安慧疏』(界品)試訳」(共著)
  • 「スティラマティ『五蘊論註』翻訳研究(一)」
  • 「苦悩の現場から紡ぎ出された言葉」(講演筆録)