立ち止まって魚を見よう

子どもの頃から魚を飼うのが好きで、趣味だった。実際、熱帯魚を飼わなかった年は、指で数えるほどしかない。私にとって、手入れの行き届いた水槽は、生きた芸術品と言える。また、水族館で泳ぐ魚に目を向けると、心拍数や血圧が下がり、ストレスを軽減する効果があるという研究結果もある。

考古学的な証拠によると、紀元前2500年頃、シュメール人によって魚の飼育が行われていたことが分かっている。日本では、宋の時代(960-1279)に中国で飼われていた鯉が、日本文化の強い象徴として愛されている。公園や庭園の池、寺社仏閣の池、そして個人の家の池でも鯉を見ることができる。日本庭園に鯉が持ち込まれた理由は不明だが、鯉の美しさが芸術の域に達し、見る者に安らぎと癒しを与えたと考えても間違いではないだろう。

鯉が人に与える魅力や力は見逃すことができない。例えば、鯉のぼりは、江戸時代(1603-1868)に武士が「鯉のように丈夫で健康に育ってほしい」という願いを込めて揚げたのが始まり。鯉は力強く、長寿であるだけでなく、幸運と健康の象徴であると武士たちは考えていたのだ。日本では、端午の節句(こどもの日)には今でも、子どもの健やかな成長を願って鯉のぼりが揚げられている。

今後、もし鯉が泳いでいる池を見つけたら、そっと静かに近づいてみよう。魚を眺めることで得られる美しさや癒し効果を、この機会にぜひ味わってほしい。さらに、「こどもの日」には、鯉のぼりをお持ちの方は、忘れずに家の前に揚げて、鯉の美しさを感じ、子どもたちの健康を祈ろう。

PROFILEプロフィール

  • ライアン スミザース 准教授

    【専門分野】
    外国語教育/言語学/英米文化

    【研究領域・テーマ】
    外国語教育/プロジェクト・ベース学習/教育英文法