2025年10月 御命日勤行・講話 厳修
「感話」及び「講話」で話された概要を、以下のとおりご紹介します。
学生による感話
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大谷大学での学び
大谷大学での4年間を通して、「認めあうこと」「認められること」の大切さを学びました。特に地域の方々とのプロジェクト活動では、人とのコミュニケーションや支え合いの温かさを実感しました。また、ラーニングアシスタントの活動では、自分の経験を話したり、困りごとを話したりしてくれる学生一人ひとりの目線に立って接し、言葉を交わす中で関係性を築いていくことが大切だと感じました。「認める」とは正解する、相手を許すという言葉の意味だけでなく、そこに存在を感じ取るということもあると考えます。さらに、吹奏楽やボランティアなどを通じて「関わる人に誠意を持って向き合う」姿勢も学び、社会人になっても自分の軸や初心を忘れず、柔軟さを持ちながら成長していきたいです。
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大谷大学での学び
幼い頃から地域のお寺の子ども会や寺子屋に通い、お寺が安心できる楽しい場所であると感じ、私もそのような場所を一緒に作りたいと考えるようになりました。また、中高生になるとお寺の法要に参加したり、東本願寺の青少幼年センターが主催する3泊4日の子ども会に参加したりするようになりました。そこで親鸞聖人の教えを通して「無意識に他人と区別してしまう自分」に気づきました。この経験からより深く真宗学について学びたいと考え、大谷大学の真宗学科に進学しました。現在は授業に加え、仏教教育センターでの予習・復習や先生方にわからないことを質問しながら理解を深めています。私は将来、お寺を中心とした地域のコミュニティづくりに携わりたいと考えており、学びを支えてくれた人々への感謝を忘れずに歩んでいきたいです。
本学教員による講話の概要
ボン教行者たちの足跡を訪ねて
文学部仏教学科 三宅 伸一郎 教授
三宅先生はまず、「ここで言うボン教とはチベットの宗教で、仏教伝来以前の土着の信仰をベースとし、仏教の影響のもと教義と経典と教団組織を整え、シェンラプ=ミボを開祖と仰ぐ宗教のことである」と述べました。また、日本におけるボン教の研究は、大谷大学と関わりの深い寺本婉雅氏と能海寛氏によって開始されたと紹介しました。そして、19世紀後半から20世紀初頭に活動したボン教の行者シャルザワの事績と、彼が活動の中心とした東チベットの寺院を訪れた時の見聞を紹介した上で、現地を訪れる意義として、「資料の確認や現地の地理に対する理解を深めることのほかに、出会いを通じて新たな知識や縁を築くことができる。そして、歴史の中で培われてきたものを手渡されているという意識を持ち、その責任を果たすことが重要である」と講話を締めくくりました。

