2023年9月 御命日勤行・講話 厳修

9月28日(木)10時40分より、9月の「親鸞聖人御命日勤行」を本学講堂において厳修しました。
勤行は、学長の調声のもと『正信偈』を唱和しました。その後、学生2名が感話を、廣川智貴教授が講話を行いました。

「感話」及び「講話」で話された概要を、以下のとおりご紹介します。

学生による感話の概要

教育学部教育学科 第4学年

私は小学校の先生を目指しており、1週間に1回教育現場を知るために学校ボランティアとして小学校を訪問しています。現在子どもたちを取り巻く環境には、不登校やネグレクト、いじめなどの問題があり、それによって子ども達の居場所が少なくなっています。

実家のお寺では、日曜学校や子どもの集いなどを行っており、先日行った子どもの集いでは、普段お寺に足を運ぶことのない中学生や保護者の方がお手伝いに来てくださいました。こうしたきっかけ作りが依りどころにつながる大切な機会になるのではないかと考えました。

大谷大学で自分と同じ寺院出身の友人と学ぶ中で、様々なお寺の行事や工夫を聞くことができました。このように同じことを学ぶことは、親鸞聖人のいう御同朋御同行であると考え、人とのつながりが居場所になっていると感じます。私自身、そのような場所を大切にし、お寺や学童保育などが子ども達の居場所になるようにサポートしていきたいと考えています。

文学部歴史学科 第1学年

私は歴史が好きで歴史学科に入学しましたが、大学の入門的な授業や人間学の授業を受け、私自身のこれまでの歴史に対する関心のあり方を振り返り、歴史を学ぶことの意味について改めて考えることができました。人間学の授業では、歴史とは自分自身の背景であり、自分と社会とは分けて考えることができない一体のものであることを学びました。また、歴史は、時間的にも空間的にも様々な縁によって成り立っており、自分の力では計りきることができないものであることにも気づくことができました。

大学での学びを通じて、自分や人間の存在と不可分な存在、生きた存在として歴史と向き合おうと考えるようになりました。自分の前に広がっている歴史をどのように捉え、どのように学んでいくのか、過去の事実と対話しながら自分の歴史に対する見方を鍛えていきたいと思います。

本学教員による講話の概要

ゲーテの『魔王』を読む

国際学部国際文化学科 廣川智貴 教授

「『魔王』という作品は、ドイツの文豪ゲーテによって書かれたバラード(物語詩)である。ゲーテは作家として活躍しただけでなく、自然科学への造詣も深く、ワイマールでは大臣も務め、政治家としての側面もあった。また、当時のゲーテの自然観は、魔王という魅力的なキャラクターと重なる部分が多く、魔王が自然を象徴しているのではないか」と述べました。

そして、「魔王が自然に喩えられているとすれば、父はそれを客観的に捉えているのに対し、子どもは人間を超えた存在として、いわばアニミズム的に把握している。たしかに自然科学で解明できるものは多く、私たちも十分な恩恵を受けているが、自然には人間の力では把握できない現象もあり得ることを、この作品は伝えているのではないか」と講話を締めくくりました。

大谷大学奨学生証書授与式 挙行

 9月御命日勤行・講話に引き続き「奨学生証書授与式」が執り行われ、大谷大学育英奨学生53名【文学部25名、社会学部15名、教育学部9名、国際学部4名】、大谷大学大学院修士課程育英奨学生12名、大谷大学大学院博士後期課程育英奨学生5名、大谷大学大学院外国人奨学生1名に対し、奨学生証書が授与されました。

一楽学長からは「この度奨学生として選ばれたことはみなさんの日々の努力の賜物である。その背景には様々な環境や人とのつながりがあり、努力できること自体があらゆる要因に支えられているということにも思いを致し、これからも学びを深めてほしい。」と、激励のメッセージを送りました。

奨学生証書授与式の様子