2022年10月 御命日勤行・講話 厳修

10月28日(火)10時40分より、10月の「親鸞聖人御命日勤行」を本学講堂において厳修しました。
勤行は、学長の調声のもと『正信偈』をマスク着用のまま声を控えて唱和しました。その後、本学の学生2名が感話を、本学の野村明宏教授が講話を行いました。

「感話」及び「講話」で話された概要を、以下のとおりご紹介します。

学生による感話の概要

  • 学生による感話の様子

    テーマ:大谷大学での学び

    両親が幼稚園を運営していることから、幼い頃から幼児教育に興味がありました。また、モノづくりにも関心があり、ゼミの中でものを作り出すことは、子どもの成長にとって良い影響を与えるものだと学びました。そして、今年から大谷派教師資格を取得するための授業を受け始めました。学んでいく中で、お寺の中で育ってきた自分と、周りの人が持っているお寺に対する印象の差を実感し、その差を埋めるためにはどうすればよいのか考えた結果、現代の幼児教育の中でもICTとしてよく取り上げられている写真を活用すればよいのではないかと考えています。現状ではしっかりとした形にはできていないので、モノづくりに関することや、仏教に関することを学び、私の表現したいことを表すことができるようになりたいと考えています。

  • 学生による感話の様子

    テーマ:大谷大学での学び

    大谷大学で得たものは、学びには終わりがないということです。高校生のころから仏教を学び、理解した気になっていました。大学で仏教について学んでいく中で、普段実家のお寺で読んでいる内容がわからなかった聖教の授業がありました。今までその内容を読み解くということはしてこなかったのに、仏教を分かっていた気になっていた自分に気づき、改めて真摯な態度で学ぼうと思いました。 また、学びの中で生じた問いをお寺に生まれ育った同世代の友人と自分たちにとってどのような意味があるのかを確かめ、追究し、教えあうということは、他ではできない学びがあると思います。大谷大学での学びは、私のこれからの人生の学びの入り口でしかないのかもしれませんが、将来の学びの基礎を大谷大学で学べたことは、大きな意義があるのではないかと思います。

本学教員による講話の概要

多様性と共同性の折り合いを考える
——存在論的転回後の社会学の視点から

社会学部 現代社会学科 野村 明宏 教授

野村明宏教授による講話の様子
野村明宏教授による講話の様子

近年のダイバーシティ推進が、文化的差異のような集合的なレベルの差異の尊重よりはむしろ、個々人のもつ能力や個性、価値観、趣味嗜好、性的指向といった個人的なレベルでの多様性を尊重する風潮を作り出すことにより、結果的に社会の分断が広がり、共同性や連帯が困難になっていることについての指摘がありました。
そのうえで、「近年の人類学の存在論的アプローチの知見に基づき、人間が動物やモノなどを含む異種混淆的な関係の中で存在し、異質なものとのつながりによって多様な可能性を発揮している」と論じました。
最後に、「個人化が強まり、多様性の高まる現代社会は、『自分はここにいても大丈夫だろうか』という居心地の悪さや孤立感を募らせる傾向を持つが、つながりにくさや異質性を互いに認め合いながら、より良いつながり方を模索し、『何も共有していないものたちの共同性』を培っていくことが、多様性と共同性が折り合いをつけるためのひとつの方途になるのではないか」と締めくくりました。

新型コロナウイルスによる感染状況に鑑み、入場者を学生及び教職員の学内者のみに限定し、感染防止対策を講じたうえで執り行いました。 
【総務課】