研究内容

倫理は善悪や正不正に関わる規範の問題です。こうした規範は単なる主観的なものではなく、そこには何らかの普遍的基準があります。この基準を知り、それに自ら従う自律(自由)、逆にそこから逸れてしまうこと(悪)などの問題を、カントやヴェイユの宗教哲学から考えています。

ゼミ紹介

倫理的な問題(善悪/人間の尊厳/正義/環境や生命の問題など)を自分にとって身近で大切なテーマとして具体的に考えることができるようになるためには、ぐらつかない土台が必要です。このゼミではまず土台となるテキスト(翻訳や原書)を読みながら、卒業論文へ向けて偏りのない基本的な物事の考え方を身につけます。その上で各自が考えるテーマを設定し、お互いに発表や意見交換をしながら、自分独自の卒論を仕上げていきます。

主な担当授業科目

【院】宗教学研究(文献研究)/哲学科特殊演習/哲学科演習/公共哲学

所属学会

日本宗教学会/宗教哲学会/日本倫理学会/宗教倫理学会

経歴・活動歴

1964年広島県生まれ。1996年京都大学大学院文学研究科博士後期課程宗教学専攻満期退学。2000年博士(文学)。2003年より東京理科大学理工学部教養教員を経て、2021年より大谷大学文学部教授。

主要著書・論文

共訳

  • アーネスト・カーツ『恥と罪 アルコホーリクス・アノニマスの経験から学ぶ』(依存症からの回復研究会、2021年)
  • シェリング『学問論』(岩波書店、2022年) 

単著

  • 『人間の生のありえなさ 〈私〉という偶然をめぐる哲学』(青土社、2021年) 

共著

  • 『宗教の根源性と現代(第1巻)』(晃洋書房、2001年)
  • 『宗教学事典』(丸善出版、2010年)
  • 『「いのちの思想」を掘り起こす—生命倫理の再生に向けて』(岩波書店、2011年) 

論文

  • 「シモーヌ・ヴェイユにおける「無行為の行為」の概念」
  • 「未遂の道徳—カントの道徳哲学と人間の自由の問題」
  • 「セルフヘルプ・グループにおける「共感」の意味—アルコホリクス・アノニマスを手がかりにして」
  • 「シモーヌ・ヴェイユにおける人間の尊厳の問題」
  • 「神秘の喪失—シモーヌ・ヴェイユの科学論から」