2014年度 大谷大学文藝コンテスト/受賞作品
2014年度 第2回大谷大学文藝コンテストにおきましては、全国からエッセイ部門266作品、小説部門75作品が寄せられました。多数のご応募ありがとうございました。
【高大連携推進室】
審査委員長によるコンテスト総評
【エッセイ部門】受賞作品
最優秀賞
該当なし
優秀賞
勝者の責任 | 佐藤 里咲 私立会津若松ザべリオ学園高等学校 第2学年 |
そこらじゅう | 兼平 こより 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
親心 | 長谷田 葵 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
大谷文芸部賞
世界一のお好み焼き屋 | 尾下 瑞希 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
奨励賞
目を見て手を握ろう | 井上 はるな 私立会津若松ザべリオ学園高等学校 第2学年 |
「か」と「や」 | 黒﨑 裕心 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
板倉菖也の取扱説明書 | 板倉 菖也 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
海色の空 | 北尾 夏菜 神戸市立兵庫商業高等学校 第2学年 |
レベチ | 施 沙奈 京都府立桃山高等学校 第3学年 |
私の勉強スタイル | 原田 明歩 山口県立光丘高等学校 第3学年 |
【小説部門】受賞作品
最優秀賞
青を憂う | 木村 詩夕 私立長尾谷高等学校梅田校 第2学年 |
優秀賞
世界最後と鮭 | 塚本 華歩 滋賀県立八日市高等学校 第3学年 |
スカシユリの花 | 髙岡 祥乃 滋賀県立石山高等学校 第2学年 |
大谷文芸部賞
さと。 | 中島 はる奈 私立平安女学院高等学校 第1学年 |
奨励賞
水 | 佐々木 祐次郎 岩手県立福岡高等学校 第1学年 |
ディスマン | 路奥 寿幸 岩手県立福岡高等学校 第1学年 |
金の斧は使えない | 末光 幸輝 私立済美高等学校 第2学年 |
虹がくれた物語 | 木下 茉悠子 私立初芝富田林高等学校 第2学年 |
地蔵と忘れた約束 | 澤谷 大珠 大阪府立佐野高等学校 第2学年 |
貧血吸血鬼 | 青木 大樹 大阪府立三島高等学校 第2学年 |
【エッセイ部門】講評
大谷大学 文学部文学科
荒瀬 克己 教授
荒瀬 克己 教授
【優秀賞】勝者の責任
勝者と敗者に分かれるのは競技の常だ。互いに認め合って切磋琢磨していきたいと思うような友に勝った佐藤里咲さんは、どう振る舞えばよいのか戸惑った。相手に対して敬意を示すにはどのようにするべきか。そのとき一つの体験が思い出され、気持ちが前向きになっていく。誠実な姿勢が表れている文章だ。今後は、全体の構成についてもいろいろと試してみてほしい。
【優秀賞】そこらじゅう
読みながら、坂口安吾が『日本文化私観』に書いていた「ドライアイス工場の美しさ」を思い出した。「そこらじゅう」にある室外機に視線を向けた兼平こよりさんの着想は、とても秀逸だ。よって、「廃墟の魅力と相通ずるものがある」という分析だが、さらに独創性を追究できるのではないかと思った。これからも観察眼と感性を磨いていってほしい。
【優秀賞】親心
あらためておかあさんの愛情と苦労について思いを巡らせた長谷田葵さん。まだよく分からないということだが、文章からは感謝の気持ちがさわやかに伝わってくる。駅を出てから自動車内、そして帰宅直後までのできごととやりとりと自分の思いが、テンポよく描かれている。そのよさを大切にしつつ、推敲を重ねることによって、さらに鮮やかな文章を書いてほしい。
【小説部門】講評
作家・津村 記久子 氏
【最優秀賞】青を憂う
「葉の先の泡」など、非常に写実的な表現が見られ、ミズハコベを鯉にやってしまうような個性的なシークエンスなどにもしつこさがなく、感心しました。書き慣れていて、いい具合に自分の文章を手放せているという印象を持ちました。上手な方だと思います。その上で、実は非現実的な世界のことを描いているのだとわかった瞬間の驚きもあります。かなりトリッキーな内容を瑕疵なくまとめていて、書きたいところをある程度自由に書けるところまで到達されている方なんだなと感じました。このまま自分の世界を追求されると良いかと思われます。
【優秀賞】世界最後と鮭
非常に比喩を工夫していて、文章全体が濃密でした。特に「彼女の口から飛び出す言葉は、あまりにも彩度が強すぎる」という一文はすばらしいと思います。文章を書くのが好きだということが伝わってきます。ただ、ほとんどの文に過剰に力がこめられているため、それら一つ一つに凝らされた工夫がそれぞれの中に埋もれているようにも思えましたので、自分がこれだと思う部分を際立たせるための取捨選択を心掛け、肩の力を抜いて書いてみて良いのかもしれないと思います。
【優秀賞】スカシユリの花
危なげない筋運びで、文章はとても安定しているように思えます。内容は優等生的で、大きな欠点はないのですが、もしかしたらもう少し、偏りや逸脱、執拗さがあっても良いかもしれません。自分が書くならという前提で一例をあげると、清美さんの作った餃子がどうだめだったのかを、もう少し書き込むであったりとかです。ちょっと人に見せるには抵抗がある、というぐらいの自分のこだわりを前面に押し出した作品を書いてみると、この方なりの「書きたいこと」と「作品の完成度」のバランスが見えてくるのではないかと思います。
【大谷文芸部賞】講評
大谷文芸部(学生サークル)
【エッセイ部門】世界一のお好み焼き屋
文章上での誤りや破綻が無く、構成がしっかりなされていることで好評でした。言いたいことがこちらに伝わりましたし、分かりにくかった点はございません。お婆様の性格やお店の雰囲気、自分の考えがしっかり書けています。
ただ、このようなパターンのエッセイはよくあるものです。どのように作品が締めくくられるのかも、すぐに予想が付いてしまいます。あなたにとって素晴らしいエピソードであることは分かるのですが、「単にいい話で終わってしまっている」という意見もありました。しかし文章力は間違いなくあるので、めげずにまた新しいエッセイを書いてみてください。
ただ、このようなパターンのエッセイはよくあるものです。どのように作品が締めくくられるのかも、すぐに予想が付いてしまいます。あなたにとって素晴らしいエピソードであることは分かるのですが、「単にいい話で終わってしまっている」という意見もありました。しかし文章力は間違いなくあるので、めげずにまた新しいエッセイを書いてみてください。
【小説部門】さと。
言葉の使い方をテーマとした作品です。作者の書きたいことが、ストーリー展開の中でしっかり描写できていました。冗長な箇所も殆ど無く、主人公と義理の母にはリアリティが感じられます。また主人公の教育がきちんと娘に届いていることが、彼女の言動に表れていました。作者の意図が反映されている点で、部内では好評です。
アドバイスといたしまして、冒頭で主人公が娘を叱っているシーンがありますが、「初見時にこの作品は虐待ものだと思った」という意見がありました。言動を正す教育とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。作品テーマに関わるので、もう少し掘り下げてほしかったです。
アドバイスといたしまして、冒頭で主人公が娘を叱っているシーンがありますが、「初見時にこの作品は虐待ものだと思った」という意見がありました。言動を正す教育とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。作品テーマに関わるので、もう少し掘り下げてほしかったです。