今年のお盆は「お墓参り」に行こう

このコラムを読まれる学生諸君は、学期末のテストやレポートを終えてやれやれ、ということで夏休みを謳歌しているところであろうか。大谷大学は仏教系の大学であるので、ご実家がお寺である学生や大学院生、大学教員をされながらご自分のお寺の住職も兼職されている先生方もおられるが、聞くところによると前期授業が終わって8月に入ると「お盆のお参りやお寺の行事」などで“ここからが本番”、一年で最もお忙しい時期の一つであるそうだ。そういえば、この時期になると法衣や袈裟をまとわれた僧侶と思しき方々が40度に迫る炎天下の昼日中、大汗をかきながらスクーターなどで忙しそうに走り回っておられる姿をよくお見掛けする。ご住職方にとっては、お盆の時期は門信徒(檀信徒)と顔を合わせてお話をし、いろいろな催しや集まりなどを通じて仏教の教えを伝える大切な時期ということであるが、ここのところの猛暑でちょっとした外出もはばかられる昨今を思うと、誠に頭の下がる思いである。

ここ数年のコロナ禍により、帰省をしておじいちゃん・おばあちゃんや親せきの面々と顔を合わせたり、お寺やお墓にお参りしてご先祖様に手を合わせたりする機会が随分と減ってしまった、ということをよく耳にする。学生諸君にとっては、そんなの面倒くさい、友達と遊びに行かないといけないしバイトや免許取得などで忙しいのに…といった向きもあるだろう。ある程度年を取ってきて思うのは、いろいろ記憶が薄れることが増える中で、お盆に帰省して法事・お墓参りのあとにみなでごちそうを食べたり、親戚の子どもたちと遊びに行ったり…というのは、強く記憶に残っているものである。大学を卒業して社会人になると今以上に忙しくなり、帰省もままならなくなることもある。故郷で何年ぶりかの「再会」というタイミングでもあるので、今年の夏は家族みなで「帰省」して、お墓参りや家族・親せきとの交流の機会を持たれてはどうだろうか。きっと、いい思い出づくりになると思う。


PROFILEプロフィール

  • 徳田 剛 准教授

    【専門分野】
    地域社会学/社会学理論/宗教社会学/専門社会調査士

    【研究領域・テーマ】
    よそ者(ストレンジャー)と地域コミュニティ/多文化共生社会論(特に地方都市・中山間地域)/人口減少地域に立地する仏教寺院のあり方