2025年4月 御命日勤行・講話 厳修

4月28日(月)10時40分より、4月の「親鸞聖人御命日勤行」を本学講堂において厳修しました。
勤行は、学長の調声のもと『正信偈』を唱和しました。その後、学生が感話を、三浦誉史加教授が講話を行いました。

「感話」及び「講話」で話された概要を、以下のとおりご紹介します。

学生による感話

  • 大谷大学での学び

    私は、今までの歴史の授業が面白かったこと、大河ドラマが好きだったことから、より専門的な知識を得るため大学に入学しました。大学での授業は、これまでの授業とは違い知識を覚えることにとどまらず、通説を問い直し根拠をもって自分なりの歴史像をつくるということを学びました。 また、人間学の授業では、釈尊の生涯を学ぶと同時に人間の本質についても学びました。 人間とは、誰しも自己中心的で人それぞれ違うものさしをもっており、それでいて一人では生きていけません。それが私たち人間です。歴史は、私たち人間の歩みです。こうした私たち人間の歴史を問い尋ねていくことが、自己の理解を深めていく手掛かりになると考えています。

  • 大谷大学での学び

    私は、大学での4年間を振り返ると、真剣に授業や単位修得に取り組む自分と、趣味や自由な時間の誘惑に負けてしまう自分、それを比べ優劣をつけようとする自分がいます。 また、その優劣をつけることは、時に周りの人へ向くことがあります。自分にとって都合が良い人とのみ関わろうとし、人との出会いにも優劣をつけます。 しかし、今ここで話ができているのは、自分の過去があり、今まで出会った人とご縁があったからです。私は、この4年間の自分の姿や出会った人などから、優劣を超えたご縁の中で生きていることを学びました。大学生として過ごす残りの時間とこれからの人生の中でのご縁を大切に生きていきたいです。

本学教員による講話の概要

禁書運動とシェイクスピア

国際学部国際文化学科 三浦 誉史加 教授

三浦誉史加教授による講話の様子
三浦誉史加教授による講話の様子

三浦先生は、「アメリカでは、演劇は大衆文化として分類されていたが、19世紀後半になるとシェイクスピアが学校教育に取り入れられるようになり、現在では「各州共通基礎スタンダード」のリーディングリストにもシェイクスピアの戯曲が含まれている。しかし、2021年から性的内容や暴力などの内容が含まれた本に制限をかけることが活発化した。アメリカ図書館協会によると、2020年以前と比較して6倍もの本が禁書申請され、学校や公共図書館から撤去される事例が増加した。その背景には、コロナ禍による親の教育への関心の高まりや、多様性への理解が進んだことへの反発などがあると推測されている」と述べました。  
その中でも、「2023年にフロリダ州のヒルズボロ郡では、シェイクスピアの『マクベス』や『ロミオとジュリエット』といった戯曲は、全文を授業で扱うことが禁止され、検閲を通った抜粋のみを扱うことになった。一方で、生徒や教員、図書館員、出版社など本に関わる人達から禁書運動に対抗する動きも生まれ、「読む権利」を守る法律を制定する州も出ている」と述べました。
最後に、アメリカで禁書になった本や詩を紹介し、「私たちが暮らしていく中で、知は力であり、知る権利、表現する権利を守っていくことが重要である」と講話を締めくくりました。