2023年10月 御命日勤行・講話 厳修

10月27日(金)10時40分より、10月の「親鸞聖人御命日勤行」を本学講堂において厳修しました。
勤行は、学長の調声のもと『正信偈』を唱和しました。その後、学生2名が感話を、福島栄寿教授が講話を行いました。

「感話」及び「講話」で話された概要を、以下のとおりご紹介します。

学生による感話の概要

  • 学生による感話の様子

    テーマ:大谷大学での学び

    教育学科での実践的な学びとして、保育実習に行きました。実習の中で子どもたちとサツマイモのツルを取りに行った際に、葉の裏に赤いカメムシの卵がついていました。農家の方からは、カメムシは作物を育たなくする害虫と聞いていたので、駆除した方が良いのかと思いましたが、子ども達は赤いカメムシの卵を見て、宝石やあずきがついていると、次々に教えてくれました。子ども達のそのような姿を見て、改めて自分の物差しでしか見ておらず、子ども達の大切な「気づき」の場を奪っていたかもしれないことに気づきました。また、雨の日には園庭で遊ぶことができず、子ども達に、いやな天気だね、と話していましたが、農家の方から見たら恵みの雨とも言われ、良い天気になります。私は、自分の立場や物差しで善悪を決めつけていたと今回の実習で学びました。

  • 学生による感話の様子

    テーマ:大谷大学での学び

    学科のフィールドワークでロサンゼルスへ行った際に、現地のお寺へ日曜参拝に行きました。ロサンゼルスのお寺では、キリスト教のように、信徒たちが日曜礼拝を行ったり、日本のお寺のように畳が敷いてあるのではなく、椅子がならべてあったりなど、アメリカの人々になじみやすいように工夫されていました。現在日本とアメリカでは共通して、寺離れが問題になっています。アメリカで数軒のお寺を参拝しましたが、多いところでも10人しか訪れておらず、また日本でもお寺に関わるのは、法事やお葬式のみというのが現状です。お寺を続けていくためには、もっと若い世代に来てもらう必要があります。私は、大学卒業後、実家のお寺に帰りますが、お寺の活動などを紹介するサイトや、新聞などをつくる際には、少しでも若い世代に響くような努力をしていきたいです。

本学教員による講話の概要

歴史実践の試み—ボランティア活動を通して—

文学部歴史学科 福島栄寿 教授

福島栄寿教授による講話の様子
福島栄寿教授による講話の様子

福島先生は、「現在、滋賀県平和祈念館(2012年開館)で取組まれている「手紙等解読班」というボランティア活動に開館時より参加している。参加者には、定年退職者の方はもちろん、元自衛隊員の主婦、会社員、元小・中・高校の教員、演歌歌手、大学生等がいる。歴史学についての知識や学びの経験もなかったが、各々の関心から参加し始め、解読作業に取組むなかで、ご自身でもくずし字を学ぶために勉強を始めるなど、生涯学習の場にもなっている」と述べました。
また、戦時中、海軍に入隊した碓本守さん(神風特攻兵として戦死)に宛てた家族からの手紙を紹介され、「出征した守さんへの家族の思いが強く感じられるとともに、当時の滋賀県の食料事情や配給、空襲など、銃後の暮らしが実感される。『日常』の大切さを改めて感じさせられる」と述べました。
最後に、『パブリック・ヒストリー入門』という書籍を紹介され、「歴史は専門的な歴史家のみが行うという固定概念があるが、歴史を多様な場に開く挑戦(パブリック・ヒストリー)が始められている。手紙という史料解読を通じて市民とともに歴史を紐解き、記憶を共有し、継承するというボランティア活動は、実は、このパブリック・ヒストリーという歴史実践の理念と重なるものがあるのではないか」と講話を締めくくりました。