研究内容

20世紀の二度の世界大戦(と今なお続く戦争や紛争)、科学技術の途方もない発展は、私たちに究極的な意味を示してきた「神」を世界から追放したように思われます。その一方で、私たちはそれでもやはり「宗教」的なものに何かを求め続けているようにも見えます。宗教教団にコミットしていなくても、お守りを持ったりパワースポットに行ってみたり、あるいはそうでないとしても、何かを「願」い、何かを「信」じ、何かに「祈」るといった行為を私たちはいつもやっているはずです。神などいないと思いつつも、いまなお「宗教」的な何かをしているというこの不可解な経験に関心があります。

ゼミ紹介

物事をきちんと考えていこうとするなら自分ひとりで勝手にというわけにはいきません。そこで、ゼミでは哲学者が書いた原典(さしあたり翻訳)を読むことが基本的な作業になります。ハードルが高いと感じる方もおられるかもしれませんが、一回読んだだけで理解できるようなものなら、それは初めからほとんど知っていたのであってわざわざ大学で学ぶ必要はないでしょう。当然時間はかかりますし、誤解ばかりかもしれません。しかし、僕は間違いや失敗ばかりの、0.3倍速の人生を歩んでいますが、僕にとってはその速度でないとわからなかっただろうことがたくさんあります。コスパやタイパなど度外視して(とはいえ入門書も読みますが)、四年間じっくり本を読み、考え、議論する(僕も間違えます)という経験をしていきましょう。

主な担当授業科目

哲学科演習/哲学科特殊演習/フランス哲学文献を読む/批判的思考/公共哲学

所属学会

宗教哲学会/日仏哲学会/日本宗教学会等

経歴・活動歴

経歴

2013年京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。2017年博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、龍谷大学非常勤講師、大谷大学任期制助教、京都大学非常勤講師等を経て、2024年大谷大学専任講師。

主要著書・論文

共著

  • 『宗教学(3STEPシリーズ4)』(昭和堂、2023年)

共訳

  •  ジャン・ルフラン『十九世紀フランス哲学』(白水社、2014年)

論文

  • 「レヴィナスとSSの顔」
  • 「盲目的臆病さについて—レヴィナス、ヴェイユ、カミュ」
  • 「ポストコロニアルの神義論—希望なき抵抗」
  • 「レヴィナスのヨブ記解釈」
  • 「「自己への嘘」としての祈り—カントにおける「信」と「反省的判断力」」