研究内容

 「分断された朝鮮史」ではなく、「分断する力の歴史」を明らかにする研究課題に取り組んでいます。研究では、「分断された朝鮮」という言説を通じて、どのような力が蓄積され、作用するのかに注目しています。その力の作用を「見えるようにする」方法の一つとして、戦後日本の国際法学者による研究の諸実践を糸口に考えています。

ゼミ紹介

人文学において学びのキーワードになるのは「かけがえのないもの」です。それぞれの人はかけがえのないものを必ず保持している。それは取り換えることのできないものです。

弟が生まれたとき。
今まで私ひとりのものだった
おもちゃが半分こになった。
でも、両親の愛は変わらなかった。

上記の文章は大谷大学の学生が短文のエッセイコンクールに出品した作品でした。弟が生まれておもちゃのようなモノは半分になることはあっても、私と弟に向けられる愛情、ここでは、人に対する人の尊重は半分に分けることなどできないのだと説いています。
私たちのゼミでは、朝鮮半島を主たる学びのフィールドとしながら、人の自由・平等を深くとらえ、考えることを学びの方向性と定めます。人に対する人の尊重は半分に分けることなどできないということ、人をモノではなく人として尊重すること、こうした理解を前提に、等しく生きる自由に関わる人文知・実践知を皆さんとともに考えていきたいと思います。こうしたアプローチは、朝鮮半島の分断状況克服への学びと無関係ではありません。朝鮮半島の人々に対する尊重は半分に分けることができないことも考えていきましょう。

主な担当授業科目

国際文化演習/国際文化特殊講義/越境するアジアの文化/韓国・朝鮮語

所属学会

 朝鮮史研究会/国際高麗学会/同時代史学会/歴史科学協議会/世界法学会/アジア国際法学会日本協会

経歴・活動歴

 2014年大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大谷大学文学部任期制講師、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授(有期)を経て、2022年大谷大学国際学部着任。

主要著書・論文

論文

  • 「戦後日本の国際法学者における朝鮮問題認識」(2021年)
  • 「入江啓四郎の国際法・国際政治研究と朝鮮問題」(2020年)
  • 「一九四八年朝鮮人学校閉鎖令の史料批判」(2018年)
  • 「朝鮮人強制連行研究における「労働力不足説」「労働力充足説」の検討—一九三九年-一九四二年の炭鉱労働者としての配置を中心に」(2016年)
  • 「日本の戦後体制の形成と解放後在日朝鮮人の地位問題の行方—一九四九年「田中意見書」の位置付け」(2015年)
  • 「植民地支配体制と分断体制の矛盾の展開—敗戦後山口県の対在日朝鮮人統治を中心に」(2011年)
  • 「外国人登録法制における登録制と身分証制の性格に関する基礎的考察」(2010年)