研究内容

第二次世界大戦後の日本文学について、大江健三郎の文学を中心に研究してきました。その際、小説よりもむしろエッセイなどの評論作品により多く目を向けてきました。大江が比較的初期のころに書いたエッセイに不意に現れる亀裂や矛盾に着目し、社会状況との関わりからその亀裂の意味を考えていく、という作業に関心があります。さらに視野を広げつつ、文学を通して戦後思想を読みかえる、ということが今後の大きな目標です。

ゼミ紹介

第二次世界大戦後に発表された日本語の作品のうち、いくつかの代表的な作品を選んで読み進めていきます。文学作品を研究するためには、物語の読解だけではなく、書誌情報や本文異同の調査、先行研究の収集整理や同時代資料の調査など、こなすべき地道な作業が多くあります。そうした作業を通すことで、作品の読解もまた豊かに広がっていくのです。ゼミでは、そうした文学研究の基礎的事項を、学生の発表を通して実践的に学んでもらいます。まずは作品を読み、さらにいくつかの調査を通して作品の奥行きに気付いていく過程の楽しさを、ゼミを通して体験してほしいと思っています。 

主な担当授業科目

文学科演習/国文学演習/文藝塾実践演習

所属学会

全国大学国語国文学会/日本文学協会/日本近代文学会/日本社会文学会

経歴・活動歴

経歴

1985年京都府生まれ。同志社大学文学部国文学専攻卒業。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学。学術博士。大東文化大学文学部非常勤講師、鹿児島純心女子短期大学生活学科講師を経て、現職。

活動歴

日本近代文学会運営委員(2018年4月~2020年3月)
日本社会文学会 会誌『社会文学』第54号 編集委員(2020年12月~2021年8月) 

主要著書・論文

論文

  •  「『ヒロシマ・ノート』における「原水爆被災白書」の思想——「被爆者」について語ることと、その〝批判〟に対する意識のあいだ——」
  •  「大江健三郎『沖縄ノート』における歴史意識の交差——新川明の「沈黙」に吸引される言葉——」
  •  「「戦争体験論」の意味——『われらの時代』を「批判」するということ——」
  •  「大江健三郎の「自殺」する肉体——「セヴンティーン」「政治少年死す」という投企——」
  •  「大江健三郎初期の「思い出」をめぐる言説——《玉音》表象と戦後民主主義アイデンティティーの形成——」