研究内容

フランス20世紀文学と物語論に関心があり、飛行士でもあった作家サン=テグジュペリの文学作品を「語り」の観点から研究しています。ヒューマニズムや行動主義という思想面から語られることの多い作家ですが、彼は新しい語りの形式を追求し続けた書き手でもありました。その技巧が最大限に活かされたのが、邦題『星の王子さま』で知られる Le Petit Prince(1943)です。研究を通じて、この童話が世界中で愛読される理由を解明したいと思っています。

ゼミ紹介

ゼミでは、まずフランスの文化、芸術、社会などについて各自が興味あるテーマを選びます。そして、調べたことを自分の知識や経験と照らし合わせ、自分なりの問いと答えを導き出して、分かりやすく人に伝える練習をします。人の発表に対する質問やコメントの仕方も学びながら、独創的で説得力のある面白い研究をするにはどうすればよいかを一緒に考えていきたいと思います。

主な担当授業科目

【院】語学文献研究(仏語)/【院】地域文化研究/国際文化演習/フランスの歴史と文学

所属学会

日本フランス語フランス文学会/大阪大学フランス語フランス文学会/大谷大学西洋文学研究会

経歴・活動歴

文学(博士)。大阪府立旭高等学校非常勤講師、大阪府立貿易専門学校非常勤講師、帝塚山学院短期大学非常勤講師、摂南大学非常勤講師、芦屋大学附属高等学校非常勤講師、大阪薬科大学非常勤講師、関西大学非常勤講師、大谷大学任期制助教、大谷大学非常勤講師、立命館大学嘱託講師を経て、2012年に大谷大学文学部着任。

主要著書・論文

単著

  • 『サン=テグジュペリにおける「語り」の探究—『南方郵便機』から『星の王子さま』へ—』

共著

  • 『空とアメリカ文学』
  • 『オ・パ・カマラッド!—足並みそろえて、フランス語!』

共訳

  • 『ベラン世界地理大系7 東ヨーロッパ』
  • 『揺れ動く死と生 宗教と合理性のはざまで』

論文

  • 「サン=テグジュペリ『南方郵便機』における語りの技法 —人称をめぐって—」
  • "Le jeu temporel dans Courrier Sud de Saint-Exupéry"
  • 「アレゴリーとしての『夜間飛行』—「船」のイメージを中心として—」
  • 「『戦う操縦士』における語りの問題— "figural"と"narratorial"の間で—」
  • 「『人間の大地』における物語情報—1人称体物語の制約を越えて」
  • 「『星の王子さま』における1人称的語り手の機能—物語情報の正当化という観点から—」
  • 「『夜間飛行』における複数視点」
  • "La fonction du narrateur hétérodiégétique dans Vol de nuit"
  • 「『南方郵便機』における一人称語り—物語情報の観点から」
  • 「ヒツジは実在するか?—『星の王子さま』という儚い虚構」
  • 「『人間の大地』における証言報告—ギヨメとスペイン人伍長のエピソード分析」
  • 「『戦う操縦士』における一人称語り—物語情報の観点から」
  • 「サン=テグジュペリにおける物語形式の探求—5作品の「語り」分析を通じて—」
  • 「サン=テグジュペリ作品における「時の経過」」
  • 「疑い深い大人のための『星の王子さま』」
  • 「子どものための『星の王子さま』」
  • 「サン=テグジュペリ作品における子どもの喪失」