文芸奨励賞 受賞作品

2019年度文芸奨励賞 受賞作品/テーマ「寄りそう知性」
                                                      -いま求められるもの-

挨拶/大谷大学教育後援会会長 井上 正

大谷大学教育後援会文芸奨励賞は、学生支援事業の一環として本学の在学生を対象に文芸作品を募集し「言葉による表現意欲を奨励すること」を目的に、2006年度に創設された賞です。今年度のテーマは「寄りそう知性-いま求められるもの-」。このテーマのもと198篇の応募がありました。
今回は多くの作品が、「いま求められるもの」というサブテーマを中心に考えられている印象があり、メインテーマの「寄りそう知性」という言葉が受け止められにくかったような印象を受けました。
学びから得られる知性によって私たち人間に、どのような生き方が生まれるのか。今回の作品では、様々な視点から表現され、人と人との間に求められてくることを表現してくださったものや、人が生きる社会に求められていることを表現してくださったものなど、それぞれの人生を通して語られていることを感じさせていただきました。これまで大谷大学で学ばれた仏教の智慧により、それぞれの生活の中で慈悲とともに生きてくれることを念じています。            

講評/大谷大学学生部長 浅若 裕彦

大谷大学は、2018年4月から社会学部、教育学部が加わり、新たな体制でスタートを切りました。それにあわせて大学を象徴する新しいメッセージとして発表されたのが「Be Real 寄りそう知性」です。今年度の文芸奨励賞のテーマは、このメッセージを受けて「『寄りそう知性』—いま求められるもの—」としました。昨今「寄りそう」という言葉は流行り言葉のようにあちこちで耳にしますが、「寄りそう知性」は、今まさに求められているものだという思いがこのテーマには込められています。
今回の応募総数は昨年度と同じ198篇でした。4人の選考委員で相談し、最優秀賞1篇、優秀賞2篇、佳作13篇を選びました。選考会では、時折応募者とのジェネレーション・ギャップに戸惑うこともありましたが、それを乗り越えて何とか作品に込められた想いをくみ取ろうと、委員で意見を出し合い議論しました。50字以内という制限があるにもかかわらず、バラエティーに富んだ個性豊かな作品が寄せられたため、選考は困難でしたが、若い世代の、普段あまり口にはしない思いに触れることのできる貴重な機会でもありました。来年度はさらに多くの方に応募していただけることを期待しております。

2019年度 受賞作品 【敬称略】

最優秀賞

鮫島 想太【修士課程 真宗学専攻 第1学年】

 
        寄り添えた。
        何をもって
        言えるのか。
        ただ一つ、
        「価値」の前に「存在」を
        認める。
        これが寄り添う一歩かな。

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優秀賞

下飼 凌太【文学部 社会学科 第4学年】

 
        便利過ぎて  こんがらがった
        世知辛い   世の中で
        僕は僕らしく 君は君らしく
        生きていられるアイデアを

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高木 有里奈【文学部 社会学科 第4学年】

 
        自分の言葉が相手に届かないとき
        足りないものは何か考える
        その言葉に「誠意」はあっただろうか。

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佳作

川北 楓子【文学部 社会学科 第4学年】

 
        「大丈夫」という人ほど
        「大丈夫じゃない」人かもしれない
        その人の気持ちになって
        まず考えてみる

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鷲尾 諒【文学部 仏教学科 第3学年】

 
        見えないところで苦しんで
        見えないところで努力している あなたにこそ
        「いいね」ができたら

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隈元 夢乃【文学部 文学科 第3学年】

 
        貴方が言った「あの言葉」の意味が、
        一体何か確かめたくて
        今も私は考え続ける。

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武田 亮馬【文学部 教育・心理学科 第3学年】

 
        共生社会への探求。
        万人に寄りそう知性。
              支える知性。
        弱い私だから寄りそえる。
         知性がなきゃ
          寄りそえない。

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樋口 唯【文学部 歴史学科 第2学年】

 
        「みんなAの意見で賛成?」
        「賛成~」
        「私は、Bの意見もありだと思う」
        流されない、一歩の勇気。

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安井 沙織【文学部 歴史学科 第2学年】

 
        小さな枠の中にも存在意義はある
        そこで使命を果たすことにも価値はある
        けれど
        時には枠からはみ出したい

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山村 稜【文学部 哲学科 第1学年】

 
        「ソウゾウの共有」
        存在しないものを思い描く想像、
        新しいものを作り出す創造、
        二つを共有し、反芻する。

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岡本 宗久【社会学部 現代社会学科 第1学年】

 
         「力を合わせる」「手を取り合う」そんなことが
         どうしてこんなに難しいのか。

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齊城 諄美【社会学部 現代社会学科 第1学年】

 
         「おはよう」
         「ありがとう」
         「ごめんなさい」
         何気ない一言
        されど”知性”の第一歩
        

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帖佐 一樹【教育学部 教育学科 第1学年】

 
         「くだらない」と言うはたやすく、
         「どうでもいい」と考えるは容易、
         「すばらしい」と集う心が今、必要だ。 

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渡邉 彩音【教育学部 教育学科 第1学年】

 
         待つこと。それは一つの知恵ではないか。
         何もしていないように見えて、めまぐるしく変化するさなぎの如く。

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長藤 宏美【教育学部 教育学科 第1学年】

 
         『知る』と、分からなくなる。
         でも、『知りたい』気持ちは強くなる。
         だから、助け合って
                 のりこえる。

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濵田 航【短期大学部 幼児教育保育科 第2学年】

 
         よく道に迷う子どもだった。
         今、生き方に迷う大人である。
         迷いながら進む現実が楽しめる真実だと
         気付いた。

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