2014年度文芸奨励賞 受賞作品/テーマ『「異文化」との出会い』
挨拶/大谷大学教育後援会 会長 三村 智子
大谷大学教育後援会文芸奨励賞は、学生支援事業の一環として、本学の学生 を対象に文芸作品を募集し、「言葉による表現意欲を奨励すること」を目的に、2006年に創設された賞です。
今年度は 『「異文化」との出会い』というのがテーマでした。50字以内の自由表現で作品を募集いたしましたところ、115編の応募がありましたが、昨年より低調であったのが残念であります。しかし、作品は個性あふれるものばかりでした。現代社会の必需品とも言えるパソコンを、敢えて四角い画面やクリックという言葉を用いて表現し、それにとらわれる自分自身を想定しているのか。はたまた周囲への呼びかけなのか。他の作品も、その後はどうなったのだろうか。と、読む側の想像を膨らませてくれるものが多くありました。ややもすれば、私たちが忘れがちな思いやり、感覚が表現された作品に出会えたと思っております。文芸奨励賞は、文科の大学として大きな意義をもつものであります。来年度は言葉による表現が盛んになり、どんどんチャレンジしていただきたいと、心より期待いたしております。
講評/大谷大学学生部長 鈴木 寿志
異文化というと、どこか遠い国の文化、とくに日本で普段接する機会のない西洋の建物や習慣の違いを思い浮かべます。しかし今年度の文芸奨励賞のテーマには「異文化」と鉤括弧がついています。これには異文化を単に外国文化に限定せず、広く捉えてもらおうという出題者側の意図がありました。
確かに応募作品の中には単に外国人を登場させたり、英語などの外国語を取り上げたものがありました。しかしそれでは単なる外国文化の紹介に過ぎません。その一方で、入賞した作品の中には、違いの中から万国共通の普遍的な価値を見出そうとする意欲的な作品がみられました。また異文化との出会いを、子供同士の新たな出会い、今まで思いもしなかったことの発見、身近な動物たちとのふれあい、と捉えた作品もありました。谷大生たちが見つけた「異文化」世界にぜひ触れてみてください。
最優秀賞
西岡 大輔 【文学部 第4学年 哲学科】
四角い画面が世界じゃない クリックでは入れない 本当を見つけに旅へ出よう |
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優秀賞
鈴木 康太 【文学部 第2学年 哲学科】
公園で小さな子供がはじめまして、 こんにちは。 それは小さな小さな異文化同士の 出会いの挨拶 |
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谷山 忠義 【文学部 第3学年 哲学科】
感じる違和感、好奇心 私は彼らを見る 彼らも私を見る 私はお辞儀をする そして、ただじっと自分の足下を見た |
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佳作
安達 誠 【文学部 第2学年 教育・心理学科】
おはよう 雀は答えた 風が寒いね 毛虫は答えた 朝は忙しい 犬は答えた 首輪がきついよ 母は答えた おはよう |
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石田 渉 【文学部 第4学年 歴史学科】
ことばが違うはずなのに、 手と手をつなぐ感覚って、 おんなじなんだ。 |
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岡本 昇也 【文学部 第1学年 歴史学科】
おはよう異文化!! おやすみ異文化!! どうせなら 楽しもうよ せっかく違うんだからさ |
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柿本 真悟 【文学部 第1学年 哲学科】
目玉焼きにソース けっこうおいしい 昨日まで知らなかったその世界 明日はもっと良い世界 |
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上舞 一馬 【文学部 第3学年 哲学科】
異国の地で様々なことを知る その経験は私を包む空気を溶かしていく ソーダ水の泡のようにシュワシュワと |
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呉竹 芽生 【文学部 第2学年 歴史学科】
子どもの頃にあったものは 今はない 今あるものはやがて 消えてゆく 異文化に出会えるのは いつまでだろう |
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澤村 祐司 【文学部 第4学年 哲学科】
隣の家で もう発見 |
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中田 創 【文学部 第1学年 仏教学科】
私に『殻』を破らせてくれて、 私に『翼』を与えてくれて、 ありがとう。 |
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中西 毬 【文学部 第3学年 国際文化学科】
常識... 違う国では非常識 人がつくったものだから 思いやり... 違う国でも変わらない 元から持ってるものだから |
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横山 南 【文学部 第4学年 哲学科】
いつのまにか 馴染んでしまうのだろう だから 覚えていたい 「異」のままを見れる この瞬間 |
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