海外研修プログラム報告

2025年度 フィールドワーク
【フィールドワーク(国際/アメリカ)】

CONTENTS

概要

日程 2025年9月6日(土)~9月13日(土) 7日間
参加数 3名(引率1名)
主な研修地
ハワイ州ホノルル市

  • 真宗大谷派ハワイ別院
  • ハワイ平等院
  • Hawaii’s Plantation Village
  • マキキ聖城キリスト教会
  • マキキ日系人墓地
  • 太平洋国立記念墓地
  • 浄土真宗本願寺派ハワイ別院
  • 真珠湾
  • パロロ本願寺
  • 超禅寺
  • ハワイ出雲大社
                等
 

研修報告

 「フィールドワーク3(国際)」の現地研修は、ハワイ州にある真宗の開教現場を訪れ、そこで開教活動に従事している方から講義を聞き、現地の真宗門徒とも交流します。これらの経験を通じ、開教活動の現状と課題をより立体的に多角度から把握しようという目的で実施しています。

 事前指導として、本学の教室にてハワイにおける仏教の歴史について講義を行いました。ハワイ州における仏教の伝播過程を知るためには、日系移民の歴史を理解することが不可欠です。明治元年より始まった日本からの移住は、寺院を設立する最大の要因となり、明治後期から、日系移民が勤めていた農園に、真宗の布教所が次々と設立されました。ハワイにある開教寺院のほとんどは、このような形で戦前に建立され、戦時中には戒厳令のもと、その活動は中止されましたが、終戦後間もなく、ハワイにおける日系コミュニティの交流の場として長らく機能しました。事前講義では、この歴史的背景を重点的に学習したうえで、ハワイでの布教について学びました。

 現地研修では、真宗寺院や他宗の寺院、またキリスト教の教会、神道の神社に訪問し、開教従事者から講義を聞き、ハワイの宗教事情を多角的に視察しました。ハワイに日本の社寺が多くあることが、日系移民の支えとなってきたことを改めて感じました。
 また、ハワイ別院の日曜礼拝への参加、門徒との交流等は、コミュニティの雰囲気にふれる貴重な機会ともなりました。お斎もありがたく頂戴しました。

開教活動関係者の方々からの講義とディスカッションを通じて、学生たちは、開教寺院の現状と課題について多角的に学び、日本の寺院が直面している課題について考える新たな視点を得たのみならず、開教使の仕事の内容について詳しく知り、将来的に開教使になる可能性について具体的に考えることができました。更にカリフォルニア州バークレー市にある米国仏教学院の准教授から、その教育プログラムについて講義を聞き、真宗を学び続けるために、アメリカの大学院に進学する可能性について具体的に学び、自身の進路に関して考えるきっかけとなりました。

 

研修中、アメリカの米国仏教学院の教員に加えて、アメリカ真宗センターの嘱託職員と毎田仏教センター所長とのリモート講義もはさみ、アメリカ本土における仏教について学び、また真宗教学について英語で語ることの困難と楽しさについて学びました。

 研修後半、Hawaii’s Plantation Villageという博物館を訪れ、日系移民が勤めていたサトウキビ農園にあった建物の復元を視察しました。この施設は、日系移民のみならず、さまざまな国籍の移民者が住んでいた建物を復元していますので、真宗寺院を設立した移民の生活風景を鮮やかに把握することができました。
 また、第二次世界大戦の爪痕が残る真珠湾、多くの日系人移民が眠るマキキ日系人墓地や、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争の戦没者が眠る国立太平洋記念墓地も訪れました。学生は、日本とアメリカの開拓時代から近現代に至るまでの激動の変遷を直に感じ取ることができました。

 事前講義と現地研修を通して、学生は、ハワイにおける真宗の歴史を明確に知り、真宗の教えがいかに、ハワイに暮らしている人の生活に影響を及ぼしているかについて学ぶことができ、またハワイにおける真宗の将来について主体的に考えることもできました。学生にとって実り多い研修であったと言えます。

現地研修の日程は、以下のとおりです。

 

96日(土) 真宗大谷派のハワイ別院にて、開教監督部の職員による開教区の歴史と現状に関する講義

97日(日) ハワイ別院の日曜礼拝に参列、前ハワイ開教区監督による講義、ハワイ別院駐在開教使による講義

98日(月) カネオヘ東本願寺訪問、同寺院開教係による講義、門徒との交流、毎田仏教センター所長による講義(Zoom)、
ハワイ平等院訪問

99日(火) ハワイのサトウキビ農園の生活風景を復元したHawaii’s Plantation Villageを訪問、米国仏教学院准教授による講義(Zoom)
マキキ聖城キリスト教会訪問

910日(水) マキキ日系人墓地参拝、太平洋国立記念墓地参拝、浄土真宗本願寺派ハワイ別院訪問、真珠湾訪問

911日(木) パロロ本願寺訪問、門徒との交流、理事長による講義、超禅寺訪問および坐禅体験、ハワイ出雲大社訪問

<海外研修報告会の実施>

日程 930日(火)の18時~1930 K203教室


学生は約1時間、現地研修で訪れた場所と聞いた講義の内容についてプレゼンテーションを行いました。事前に記録担当者を決め、参加した学生全員が、割り当てられた講義について発表しました。そこでは、研修で訪問したことの事実だけを述べるのではなく、そこから何を感じ、何を学んだかを自分の言葉で表現し、報告会に参加していた者に伝えていました。学生一人ひとりが研修の結果、「多角度から把握する」という目的に到達したと強く実感しました。

 【Michael J. Conway(中国浄土教/親鸞思想/近代教学)】