大谷大学文藝コンテスト

2013年度 大谷大学エッセイコンテスト/受賞作品

2013年度 大谷大学エッセイコンテストにおきましては、全国からエッセイ61作品が寄せられました。ご応募ありがとうございました。
【高大連携推進室】 

審査委員長によるコンテスト総評

大谷大学エッセイコンテスト 総評

 募集期間が比較的短く、今回は京都府と滋賀県を中心にした募集であったにもかかわらず、東は宮城県、西は愛媛県といった地域から61篇もの力作が集まった。若い世代の旺盛な表現意欲に私たちは目を見張る思いであった。テーマを自由としたためか多種多様な文章が寄せられたのも、高校生の多面性が垣間見られて、審査する側としては嬉しい事態だった。
 
 もっとも、応募作品のおよそ3分の1が小説だったことは、私たちを困らせた。それもエッセイとの境界線上にある「私小説」ならばまだしも、ファンタジー・ホラー・SF的要素の濃厚な作品がほとんどなのだ。別の観点でいうと、「恋愛小説」が列をなした。これは高校生の関心や嗜好の反映にちがいないし、読み応えのある印象的な作品もいくつか目についたので、なおさら困った。しかし、エッセイと小説を同一の基準で評価することはできない。そこで今回、小説(とそれに類する作品)に高い評価を与えることはできなかった。また規定の字数を超過している作品も、それが力作ゆえの結果であることは承知の上で、やはり評価を下げざるを得なかった。発想や表現の点で既成のものに多くを負っていると判断した作品にも、やむなく同様の措置をとり、最優秀賞や優秀賞に選ぶことはできなかった。しかし、そのような中から今後の期待をこめて、当初は設定していなかった奨励賞と学生サークルの大谷文芸が選んだ特別賞を新たに置いて賞することとした。
 
 エッセイという文芸ジャンルを正確に定義するのは至難だが、一般的には「自分自身とその周辺を題材にしたノンフィクション」を連想する向きが多いと思う。しかし、さすがに若い人々だ。応募者はそのような通念には染まっていない。その証拠に今回の作品の山の中にはいわゆる身辺雑記は少なく、瑞々しい感性に貫かれた詩的散文や、思考の鋭さが光る論考などが端座していた。読書感想文も小論文も、もちろんエッセイに属する。とはいえエッセイコンテストと銘打つ以上、国語の課題作文の範疇には収まらない独創的な文章、表現そのものに魅力がある散文作品を、私たちは求めている。

 なお、今回のコンテスト開催に際しては、各高等学校で文芸部の指導などを担当しておられる先生方から多大な御尽力を賜った。この場を借りて感謝の意を表したい。

 
大谷大学エッセイコンテスト
審査委員長 國中 治

受賞作品

最優秀賞

砂浜の発掘現場 有永 琴音

東京都立一橋高等学校
第1学年

優秀賞

My room 井上 優香

愛媛県立南宇和高等学校
第2学年
照らされる道 寺井 澪

宮城県農業高等学校
第3学年
 

大谷文芸部賞

をかしきもの 野田 くるみ

愛知県立尾北高等学校
第2学年
 

奨励賞

兄弟 高畷 智子

滋賀県立瀬田工業高等学校
第2学年
竹の花 高岡 祥乃

滋賀県立石山高等学校
第1学年
オンナゴコロ 藤澤 優菜

神戸市立兵庫商業高等学校
第3学年
おじいさんの絵 林 真由

滋賀県立八日市高等学校
第1学年
「いただきます」と言う文化 村上 菜津美

兵庫県立出石高等学校
第2学年
 兵士に考えさせられて 田中 希望

東京学芸大学附属国際中等教育学校
第2学年
 

【大谷文芸部賞】講評

大谷文芸部(学生サークル) 

をかしきもの

 文章構造がしっかりしており、全体を通して綺麗にまとまっています。2000字以内で伝えたい気持ちが表現し切れているのは、とても素晴らしいです。ただし一文が長く、まだ削れそうな部分が多々あります。この点に気をつけておけば、さらに良い文章になるでしょう。
 内容に関しては、清少納言にあこがれる理由を評価したいです。今回好きなものや人をテーマにしたエッセイは沢山ありましたが、この作品は他にはない特徴が述べられていて、非常に説得力がありました。