真宗総合研究所概要

2025年度指定研究/仏教写本研究

2025年度研究体制

 
研究名 仏教写本研究
研究期間 2025~2027年度
研究課題 仏教写本の総合的研究
研究代表者 DASH Shobha Rani
研究組織 <研究員>
  • Dash Shobha Rani(教授・仏教学)
  • 新田 智通(教授・仏教学)
  • 戸次 顕彰(准教授・仏教学)※庶務

<嘱託研究員>
  • Suchada Srisetthaworakul(古典写本研究センター・センター長<タイ・アユタヤ>)
  • Anand Mishra(ハイデルベルク大学Assistant Professor)
  • David Wharton(シンガポール工科デザイン大学研究員)

研究意義・目的

 本研究班は大きく3つの柱を立てて研究を行う。
 一つ目は、大谷大学には、パーリ語、サンスクリット語等で書かれた仏教に関する写本が数多く所蔵されている。その一部はある程度整理され、研究されているが、未整理・未公開で研究されていないものも多く残っている。大谷大学所蔵写本の中に特に、1900年にタイ王室から寄贈されたと思われるパーリ語貝葉写本群が日本最大級のものと言われ、研究者の注目を浴びる。本研究は、これらの写本の保存、整理、公開など学術研究の準備を整える他、ローマ字転写テキスト・校訂本テキスト・翻訳テキストの作成を通して学術的な利便性を図ることを目的とする。そのために必要な関連資料も収集する。今年パーリ語はインド政府により古典言語として認定を受けたことがあり、本学所蔵のこれらのパーリ語写本は大きな研究資料になることが期待される。
 二つ目は、写本研究と言えば、写本からの現代文字やローマ字への転写、校訂テキストや翻訳等のいわゆる研究資料の作成といった活動が中心で行われることが一般的である。しかし、写本とは単なる文字の集合体ではなく、それが作成されたまたは書写された地域・文化の様々な様相も含まれている。例えば、貝葉写本は単に読むためのものではなく、それ自体を崇拝の対象として扱っている事例も南アジア・東南アジアの国々に見られる。そのため、写本の「総合的な研究」が求められる。本研究は、文献研究に留まらず、写本研究に基づき、南アジア・東南アジアを中心にその文字、言語、文化、信仰などの国際的・学際的な研究を行うことを目的とする。加えて、仏教写本の特徴や性格をより明白に示すために、その他の対象写本と比較検討も行っていく。
 三つ目は、本研究の視野を広げる目的で、国内外の研究者・研究機関との学術交流を図り、それら教育・研究機関の所蔵資料をも活用し、人材の協力を得る。これによって写本や関連文献の研究を踏まえ、国内外における仏教文化や仏教の現状について研究することが可能になり、多角的な視点から仏教の受容性や現代におけるその意義を明らかにしていく。学術交流の一環として、これらの人材を生かして、共同研究・国際シンポジウムなどを開催し、その成果を出版物として公刊する。こうした研究者や他機関との学術交流によって、写本研究のネットワークを構築し、大谷大学はその拠点としての役割を果たすことを目指す。
 研究活動及び成果の国際的な評価を目的として、海外の研究機関に向けて本研究班の活動紹介、成果発表会を定期的に行い、英語での出版を目指す。そして、本研究は写本中心ではあるが、仏教思想、仏教文化という拡大した領域にわたって研究を行うため、研究者のみならず、社会に還元する目的で、成果の一部を一般の社会人を対象に公開発表会も定期的に行う予定である。
 以上に述べた研究意義・目的には発展的な要素が含まれているため、短期間に達成されるとは考えられないので、将来にわたって研究が発展的に持続されることが願われる。
 

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