2019年度指定研究/東京分室指定研究
2019年度研究計画
研究名 | 宗教と社会の関係をめぐる総合的研究 |
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研究課題 | 社会的価値観における宗教の役割の解明 |
研究代表者 | 井黒 忍 |
研究組織 | <研究員> 井黒 忍(本学准教授・東洋史) 青柳 英司(PD研究員・真宗学) 大澤 絢子(PD研究員・宗教学・近代宗教文学) 鍾 宜錚(PD研究員・生命倫理学) 西村 晶絵(PD研究員・フランス文学) |
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研究意義・目的
多様な価値観を内包する現代社会において、宗教のあり方が問われつつある。そうした中、社会において宗教が果たすべき役割やその可能性をより多角的な視点から見直すべきとの声も多い。そこで本研究は、宗教と社会との多種多様な関わり合いが見られる現代の東京という場において、専門性を異にする研究員たちが各自のディシプリンに基づく独自の視点から、社会における宗教の役割を問い直すことを目的とする。人類にとって根本的な問いであり続ける「どう生きるのか?」、「どう死ぬのか?」という問題を主軸とし、宗教というフィルターを通して、社会に存在する、もしくは存在した様々な価値観の構造を明らかにすることを目指す。 |
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研究計画・方法
青柳研究員は、ある社会の内部で前提となっている価値観を問い直すということは、宗教的言説の重要な役割の1つであり、本研究では特に、親鸞の主著とされる『教行信証』から、その言語表現の特徴と独自性とを明らかにして、親鸞の思想研究の一助とすることを目指す。 大澤研究員は、近代日本(1868-1945)の枠組みで、文学・雑誌・映画も含む大衆文化のメディアを精密に分析することにより、仏教と女性の関係の一側面を解明する。具体的には、これらの諸メディアが一般化していく明治末期から昭和初期にかけて、仏教の中での女性イメージがいかに展開してきたのかを考察する。本研究では、メディアにおける女性の表象に重点を置きつつ、文学と歴史学の相互作用に着目することで、日本の近代化の過程における宗教者イメージの形成プロセスを明らかにする。 鍾研究員は、「どう死ぬのか」という問題について、日本と台湾を中心に、それぞれの終末期医療の法制化の動きを調査し、終末期の意思決定に関する宗教者の取り組みを考察することで、人生の最終段階における宗教の役割を解明する。 西村研究員は、20世紀のフランスにおいて諸宗教が政治の場にいかに関わり、社会規範や社会制度の変容にどのような影響を及ぼしたか、またアンドレ・ジッドをはじめとする宗教思想家や文学者がその中でどのような役割を担ったかという問いを、テクスト分析を通じて明らかにする。 井黒研究員は、研究全体のとりまとめを行うとともに、アジア乾燥域における水利秩序と宗教との関係性を考察する。 |
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