大谷大学からのメッセージ/Vol.3『世界を変えることはできるか。』

世界を変えることはできるか。

自分が変われば、 世界は変わる
世界は、 私たち一人ひとりの
心の在り方を映し出す。

「 世界 」 という言葉は、
ワールド(world) の日本語訳として受け取られているため、
通常は海の向こうの外国など、さまざまな国々を思い浮かべるでしょう。
しかし仏教で「世界」は、空間だけではなく、
「過去・現在・未来」という時間を含めた概念を指します。
空間軸と時間軸、それらが交錯する無限の広がりを「世界」と言うのです。

したがって「世界」とは、私たち一人ひとりに、個別のものであるとも言えます。
みんなが同じ世界を共有しているつもりでも、
それぞれ住んでいる空間も、過去や未来も異なります。
私たち一人ひとりは、実はそれぞれ別の世界に、それぞれに生きているのです。
百人いれば、そこには百の世界が存在するのです。

そんな中で私たちは、しかし多くの他者と無縁ではいられません。
別の世界に生きる別の人と関わり、
交わり合いながら生きていかなければならないのです。
ところが今なお「私たちの世界」では、国と国、
民族と民族、文化や宗教などの価値観の対立から、争いが絶えません。
それは世界と世界とが理解し合うことなく、排除を繰り返す状況であると言えます。

こんな愚かしくも悲しい事態を創出しているのは、実は私たち自身であるのです。
大切なことは、世界に耳を傾け、世界の声を聴くこと。
それは異なる他者の世界に気づき、確かめ、寄りそう知性を磨きます。

私の世界に閉じこもることなく、他者の世界を覗いてみましょう。
触れれば、私の世界も変わるでしょう。世界を学び、自分を学び、世界を変える。
そんな出会いを、経験してみませんか。