2015年度文芸奨励賞 受賞作品/テーマ『“これ”が私の分岐点』
挨拶/大谷大学教育後援会 会長 三村 智子
大谷大学教育後援会文芸奨励賞は、学生支援事業の一環として本学の学生を対象に文芸作品を募集し、「言葉による表現意欲を奨励すること」を目的に、2006年に創設された賞です。
今年度は『“これ”が私の分岐点』というのがテーマでした。50字以内の自由表現で作品を募集いたしましたところ、185編の応募がありましたが、まだ少し低調なのが残念です。
作品は環境・両親・先生・友情・生死と、自分を取り巻く事柄を切実に伝えた表現が多くありました。読む側も「その通り!」「うん!うん!よくわかるその気持ち」と頷かせて頂けたり、笑わせて頂けたりするような、個性あふれる作品に出会えたと思っております。
文芸奨励賞は、文科の大学として大きな意義をもつものであります。今回応募されなかった皆様、そして今回惜しくも受賞を逃した皆様、ひょっとすれば今まで気づかなかった、自分の隠れた才能を発見できるいいチャンスになるかもしれません。来年度もあなたの作品を心よりお待ちしております。
講評/大谷大学学生部長 福島 栄寿
2015年度は、「“これ”が私の分岐点」をテーマに作品募集を行いました。社会も大学も大きな変化のなかにある現代。大谷大学もまた、校舎の建て替えの最中にあり、新しく生まれ変わる「分岐点」を迎えているかのようです。振り返れば、実はこの2015年が、私たちの「分岐点」だったかもしれない……。会議の話し合いで、この「分岐点」をキーワードに今年のテーマを決定し、作品募集を致しましたところ、185点もの応募がありました。力作を寄せていただいた皆さんに、心から感謝いたします。
友人、親、先生、言葉との出遇いや、生と死との出遇いなど、作品には、応募してくれた皆さんそれぞれの人生の歩みにとって、忘れがたい様々な「分岐点」が表現されていました。また、今この瞬間を「分岐点」として自ら選びとって生きているという、若者らしさを感じさせる作品や、微笑ましいエピソードを巧みに表現している作品もありました。たかが50文字、されど50文字。しかし、読む者を微笑ませたり、頷かせたり、唸らせたりと、言葉が開く世界は、とても豊かで、読み応えがあります。ぜひ、皆さんには、谷大生の力作を味わっていただきたいと思います。
最優秀賞
岩崎 冴 【文学部 第4学年 教育・心理学科】
里イモが嫌いでした。 土臭くて じゃりっとする。 里イモの大好きな友人ができました。 今では里イモが 大好き。 |
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優秀賞
足立 夕桂【文学部 第1学年 教育・心理学科】
これでよかったの? 今でも不安に思うよ お前なら大丈夫 背中を押してくれた君の言葉は 私に“今”をくれたんだ |
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三橋 琴未 【文学部 第2学年 文学科】
木登りをしていた。 太い幹の先 私はどの枝に 手をかけよう。 |
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佳作
石塚 壮一郎【文学部 第1学年 教育・心理学科】
母とのへその緒が切れた時 これが私の分岐点 |
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奥野 映美 【文学部 第4学年 教育・心理学科】
弟が生まれたとき。 今まで私ひとりのものだった おもちゃが半分こになった。 でも、両親の愛は変わらなかった。 |
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川井 真由【文学部 第1学年 教育・心理学科】
過去を変えられることはできない。 だが、今と未来を変えられるのは自分次第だ。 |
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川端 有花【文学部 第1学年 歴史学科】
「今まで我慢させてきたから好きなことを勉強しなさい」 この母の一言が私の分岐点である。 |
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川村 晶【文学部 第1学年 歴史学科】
キリギリスを殺した 蝉時雨が鳴り止む 虫の命も私の命も同じだと 知っていたはずなのに 私はキリギリスを殺した |
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北風 資【文学部 第1学年 歴史学科】
ああすればよかった こうすればよかった タイムマシンがあったら でも、そんな過去を失くしたら 今は幸せかな? |
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齋藤 日花梨 【文学部 第1学年 哲学科】
60分の出来事でした。 クソ田舎で女の子が踊る映画をみた、高2の秋 ばちん! 私は私と目が合った。 はじまる! |
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長谷部 暢弥【文学部 第2学年 真宗学科】
東日本大震災 「命」の尊さを思い知らされた日 「生きる」というすばらしい事 当たり前ではない 「生きる」という事 |
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松﨑 貴弘 【文学部 第2学年 真宗学科】
高三の冬、 ひきこもりだった 私は、光に出遇った。 二年の殻を破り、 縁の世界へ。 これが私の分岐点 |
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宮地 聖光【文学部 第1学年 国際文化学科】
「絶対に秘密だよ」「誰にも言わないで」 なんて言葉は軽いのだろう。 それを知った瞬間。 |
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