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今という時間

今という時間 - [241]

「こわいこわい花粉症」
木場 明志(きば あけし)

 4月下旬ころには終息に向かうとされる花粉症。それにしても今春のスギ花粉大量飛散の予報は激烈を極めた。1月中から飛散量が例年の数倍になると強調され、ワイドニュースも、健康番組並みに恐怖と対策の必要性を煽っていた。例年きまって発症する人が語る死ぬほどの苦しみや、絶対に必要だとする対策法がどれほど多く紹介されたことか。もろもろの予防用グッズ、花粉を固めて落とす家庭用品、これぞという特効薬。発症経験者はいうに及ばず、未発症者への強い警告も含めて、すべての情報は家の隅々にまで対策を迫るものであり、天気予報時に流される飛散情報は3月初旬には「いよいよ来るぞ」の感があった。
 3月中旬に暖かい日が訪れ、飛散は一気にピークを迎えた。店頭には対策用品が出揃っていた。
 あれからひと月。実際、花粉飛散は多かったが、こぞって買い込んだ新グッズ・新薬品の効果はどうだったのだろう。さては〈踊る大花粉症戦〉だったのかもしれないと思う。大量飛散予想を背景とする催眠的予防新製品キャンペーンの面はなかったか。
 とすれば、自分の健康を自分で律することができない震撼すべき事態である。見えない花粉に慄き、外部情報に踊って生きる世の中になっている。狂牛病・鳥インフルエンザ・SARSの時には情報過多が風評を生んだ。自分で判断するすべを失った怖い時代である。日々の生活の中に、自己を取り戻す一瞬を大切にしたいと思う。
 さて、あなたはいかがでしたか。

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