ここからサイトの主なメニューです

Home > 読むページ > 今という時間 > 留学

今という時間

今という時間 - [195]

「留学」
Didier Wester(ディディエ ヴェステル)

 半年間のフランス留学を終えた学生が挨拶に来た。彼とフランス語での会話を楽しみながら、フランス滞在中の写真を見せてもらった。ほとんどの写真が、向こうでできた友達との色々なパーティーのものだった。フランス人だけでなく、様々な国の同級生ができて、幾晩も遅くまでそれぞれの国の文化・信仰・習慣等について討論し友情を深めたという。彼の話を聞いていると、彼はフランス留学によって、フランス語の語彙だけではなく、人間社会や異文化に対する寛容等も習得してきたのだとよく分かった。
 日本から海外に留学することは、今でもそれほど簡単なことではない。しかし、留学の成果を認める大学は、現在とても多くなっている。そして学生たちにはこの機会を大いに利用して欲しいと思う。
 1人で留学を成し遂げることにも意味がある。だがそれ以上に、若い時の、異文化との言葉を越えた出会いは、自己のアイデンティティーを構築する大きな礎となる。そしてそれは一生の財産となっていくだろう。人生に迷っている時、不安な時、きっとその青春期の思い出と友人たちとの友情が、前に進むための勇気を与えてくれる。
 ところで挨拶をしに来た学生は、話の最後にこんな質問をした。「先生、メールで特殊なフランス語の文字を打つにはどうしたらいいのですか?」。やはり彼の異文化体験はまだ終わりではない。いや、これから長く続く体験が始まったばかりなのかもしれない。

Home > 読むページ > 今という時間 > 留学

PAGE TOPに戻る

ここからサイトの主なメニューです