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今という時間

今という時間 - [152]

「見・巧・者(み・ごう・しゃ)」
中桐 伸吾(なかぎり しんご)

 2002年ワールド・カップ開催まで、あと1年を切った。大会開催期間中、競技場やテレビで観戦する人はオリンピックをしのぎ、延べ300億人を越すと推測される。
 この観客の中には、自分達のストレスを解消するために暴力事件等を起こす、悪名高いフーリガンがいる。彼らを悪玉観客とするならば、善玉観客とはどのような観客だろうか。
 歌舞伎などの芝居では見巧者と呼ばれる観客がいる。見巧者とは、芝居をよく見慣れていて、一般的に物の見方の上手な人を意味する。役者は、目の肥えた見巧者に満足してもらうべく、芸に磨きをかける。
 では、スポーツにおける善玉観客も、歌舞伎と同じく、見巧者といえるのではないか。イチロー選手は大リーグを希望した理由の1つに、「目の肥えた人達に認めてもらうことが目標だった」をあげている。選手の意欲を高め、持てる力を十分に引き出すためには、そのスポーツの技術や知識を熟知した観客の存在が不可欠である。選手の素晴らしいプレーと、それを支える見巧者、両者があいまってこそ、感動的な場面が生まれるのである。私は試合前の選手の表情に注目する。自信に満ちた顔、不安な顔、時には泣きそうな顔等、そこに選手の心理が見える。そして思わず“頑張れ”と応援する。
  世の中には、いろんな分野での見巧者が存在する。さて、あなたは何の見巧者?

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