小さな頃から実家のお寺を継ぎたいと思ってきた高嶋さんは、その夢を叶えるべく真宗学科に入学を果たしました。周りにはお寺出身の人も多くて楽しく過ごせる半面、クラスメイトの多くが元々お寺を継ぐことは考えていなかったということを知り、自分との違いに驚きます。
いずれお寺を継ぐ日のために、寮の仲間に助けられながら、親鸞聖人や法然上人についてじっくり学び、研鑽を積んでいます。

06 自分が実際に親鸞聖人に聞く場面を思い浮かべる

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本明:今、授業では「親鸞の生涯と思想」をやってるの?
 
高嶋:「親鸞思想の受容と展開」です。『歎異抄』とか、法然上人について習ったり。『歎異抄』は内容も全然知らなかったし、教えてもらって素直に難しいなと思いました。
 
本明:まあこれからやもんね。『歎異抄』は2、3年生になってもずっと学んでいくのでね。親鸞聖人の門弟で唯円(ゆいえん)っていう人が、親鸞聖人から聞いたことを書いたと言われているけど、親鸞聖人の生きた声が会話形式でそのまま収められていたりするから、その時に唯円はどういう気持ちで聞いていたのかとか、情景を思い浮かべながら考えると、すごく身近に感じると思いますよ。自分が実際に親鸞聖人に聞いたら、こういう風に答えるのかなとか。
 
親鸞聖人がなぜ関東から京都に帰って来たのか、その後にどういう問題を抱えていたのかなど、その背景も知ると、そのやり取りの裏にある心配事とか、親鸞聖人が本当に伝えたいこととかが見えてきて、「ああそうか」って思うことがたくさんあるよ。
高嶋:私も早くそこまで読み取れるようになりたいなと思いますけど、でも難しいですね。
 
本明:まずは状況をイメージしてみるといいかもしれないね。法然上人は親鸞聖人の先生にあたるんだけど、法然上人についてはどうですか?
 
高嶋:まず親鸞聖人が比叡山にいたっていうことも知らなくて、最終的に法然上人の姿勢や思想とであったこととか、浄土宗の歴史も知らなかったから、法然上人のことも、そういう思想を思いついた革命的なすごい人なんだなって思いました。
 
本明:なぜ比叡山の人たちが敵対視するのかっていうところは、法然上人や親鸞聖人の伝えたいことに核心があると思うんだよね。そういうところを切り口に調べていくこともすごく良いと思います。あまりにもたくさんのことをつめ込みすぎると混乱してしまうけどね。
高嶋:そうですね、話がごちゃごちゃになってしまうことはあります。
 
本明:わかりやすく伝えるためにできるだけ専門用語は使わないようにしようと思うんだけど、私もつい出てしまうんですよ。
 
高嶋:知らない単語が出てくると、ノートにとりあえずひらがなで書いておいて、後で調べようと思いながら授業を受けてます。漢字もわからないので。
 
本明:後で調べることですごく身についてくるよ。ひらがなをひらがなのままにしておくと、永遠にそのままだからね。だからできるだけ自分で調べる。自分で調べるということが一番の勉強になるし、またそこから問いが生まれてくるし、そこを大事にしてほしいと思います。真宗学科以外の授業で面白かった授業は?
 
高嶋:「こころの科学」っていう譲先生の授業です。譲先生の本を高校の時に読んだことがあって、この先生の授業を受けたいなって思ってたんですけど、心理学の初歩の初歩だったのですごくわかりやすくて、「心理ってそうやって動くんだ」って興味を持ちました。これからも生かせそうな内容で面白かったです。
 
本明:譲先生はお寺とも深い関係を持ちつつ心理学を専門にされているから、余計うまく入り込めたのかもしれないね。

PROFILEプロフィール

  • 本明 義樹

    文学部 真宗学科 講師



    1972年京都府生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。大谷大学任期制助手、大谷大学聖教編纂室嘱託研究員、真宗大谷派教学研究所研究員、真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員を経て、2021年大谷大学文学部着任。
    親鸞の思想形成の解明に取り組んでいる。特に親鸞が曇鸞浄土教をどのように受容し展開したのかを確かめるため、親鸞加点本や『教行信証』に引用される『浄土論註』の文を精読している。また『教行信証』の自筆本である「坂東本」を書誌的な視点からもアプローチし、最晩年に至るまでの思想深化の意義を明らかにしたいと考えている。



  • 実家のお寺を継ぐことが夢で、中学生の頃には大谷大学を受験することを決めていた。真宗学科はお寺出身の人も多いため楽しく過ごせる一方で、お寺を継ぐことは考えていなかったクラスメイトも多く、自分との違いに驚いた。
    入学する前は少し不安を抱いていた寮生活は、他の寮生ともすぐに仲良くなり、京都観光へ出かけたりする間柄。美味しいご飯に有り難さを感じながら、日々充実した大学生活を送っている。いずれお寺を継ぐ日のために、親鸞聖人や法然上人についてじっくり学び、研鑽を積んでいる。