2012年度文芸奨励賞 受賞作品/テーマ「今を生きる」
挨拶/大谷大学教育後援会 会長 高橋 法信
大谷大学教育後援会文芸奨励賞は、学生支援事業の一環として本学の在学生を対象に文芸作品を募集し「言葉による表現意欲を奨励すること」を目的に、2006年度に創設された賞です。今年度のテーマは「今を生きる」でしたが私達は東日本大震災に遭い、自分が生きるという事は常に死と共にあるという事を教えられました。そういう中から「今を生きる」というテーマのもとに263編の応募がありました。
自分の生きる道を見つけた人もおられましたが、「何を求めて生きているのか」「どう生きたらいいのかわからない」という叫びのような声が多かったように思います。文芸的表現も大切だと思いますが、私はわからないという不安、その問を共有し、その問を持っての学びこそが本学の学びであるという事を改めて感じさせてもらいました。
講評/大谷大学学生部長 古川 哲史
大谷大学教育後援会文芸奨励賞の2012年度のテーマは「今を生きる」です。今回のテーマの趣旨は、大学生として自らの過去を振り返り、将来についての希望や悩みを抱く中で、「今を生きる」ことへの想いや思いを表現してもらうことでした。
応募作品はどれも個性あふれるものでした。人は人や自然とのつながりのなかで生き、生かされていること、今まさにこの瞬間を大切に生きること、その他、さまざまなメッセージが伝わってきました。機械的・人為的に区切られた時間と空間に縛られ、慌ただしく日々を過ごしがちな私たちの生き方に再考を促すような作品もありました。
長い時間にわたる選考会を経て選ばれた受賞作品は、以下の通りです。
最優秀賞
S.H 【文学部 第1学年 教育・心理学科】
産声を上げた瞬間から たくさんの人の愛情を食べて 生きのびてきた私が 残された時間で 何を返せるのだろう。 |
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優秀賞
田中 千瑛 【文学部 第1学年 文学科】
数年前 雨が降った 数ヵ月前 植物が育った 数週間前 獣が生きた 数日前 その命が奪われた 今日 その命で生きる私 |
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山田 真照 【文学部 第2学年 哲学科】
子供の頃は 時計のことなんか忘れて 夢中で遊んでた そこには「いま」だけがあった |
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佳作
大前 朝子 【短期大学部 第1学年 仏教科】
生涯学習を・・・・と 一念発起 「今日も頑張っといで」の 母の応援がうれしい 私ね 今がとっても楽しいの |
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苅谷 美希 【文学部 第3学年 文学科】
補聴器を付けると、 風、生き物の鳴き声、 車、音楽、音が入ってくる。 そこで私は生きているのだと実感する。 |
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川野 晃斉 【文学部 第3学年 真宗学科】
買って帰ったら喜ぶだろうなぁ。 幼児(こども)の玩具(おもちゃ)を見かけると つい顔が綻(ほころ)ぶ。 今はもう 喜んでは くれないけれど。 |
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北澤 太紀 【文学部 第3学年 社会学科】
不況、災害、政治不信.... つらく、苦しい時代でも、 希望を捨てず生きていく 人の強さに、今を見る |
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小菅 聖 【文学部 第2学年 歴史学科】
時間におわれていませんか 時間を作ってみませんか 見失っているものは 今この時と心です |
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杉本 志穂 【文学部 第3学年 歴史学科】
つるつるとした赤ちゃんの手は生まれた証(あかし) 皺だらけのおじいちゃんの手は生きた証 私の手は、「頑張り中」。 |
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玉置 智 【文学部 第4学年 国際文化学科】
手は父方の祖母に、 輪郭は母の父の母に、 考え方は父に、 文字は母に似ている。 こうして生きているんだ、今。 |
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松本 尚大 【文学部 第2学年 哲学科】
体はそこにあるけれど、心はなぜかここにない。 過去や未来を右往左往。 |
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森脇 優香 【文学部 第3学年 哲学科】
最近レジ打ちを覚えました。 あと、怖いものと許せないものが、 ほんの少しだけ減りました。 また連絡するね。 |
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八神 満喜 【短期大学部 第2学年 仏教科】
「どうにもならない私」を 投げだしたり 許したりを繰り返し 自分と向きあうこと。 |
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