生涯学習講座

2012年度前期受講講座
「心に野ざらし 身には風-『野ざらし紀行』に遊ぶ-」ほか

2012年度前期講座受講生/八木佐喜子さん

退職後、第二の仕事をしながらも自由時間が増えたのを幸いに、通い始めたアスニーで大谷大学の公開講座のパンフレットを見つけました。大変幸いだったのは、テーマが「義経千本桜」だったこと。歌舞伎大好き、義経大好きの私はすぐ飛びつきました。
開講30分前から映写される大画面に引き込まれ、次いで、沙加戸先生の御講義に魅せられ、一度ですっかり虜になりました。以来、毎回、貴学の恩恵を受けております。

「心に野ざらし 身には風 —『野ざらし紀行』に遊ぶ—」を受講するにあたり、俳句は短歌よりも難解であると思い込んでいるため、学習意欲はいまいちでしたが、講師の沙加戸先生の魅力に惹かれて受講しました。いつものことながら時代背景や文学の動向などを分かりやすく説明していただいたので、それぞれの句の持つ味をより深く感じられたように思いました。
『野ざらし紀行』などと言えば、悲壮な覚悟で旅に出かけたように思われますが、芭蕉は自分の想いをちょっとオーバーに、気負ってネーミングしたのかなと気を回してみました。行く先々に知人も弟子もいたようで、案外こころのどかに「句物語」を作っていったのかもしれません。

それにしても、沙加戸先生の御講義には、いつものことながら唖然とさせられます。まず、楽しい。落語よりも面白い。時に応じた脱線は、先生の守備範囲の広さ—学識の広さ・深さと申すべきかと思いますが—を窺わせますし、笑いも誘います。また、年齢も経験も様々な受講生ひとりひとりの反応を常に確かめながら講義を進めていかれるご様子に、先生の「一期一会」の想いを感じ取っております。
もう一つ、講義終了時間に、予定された箇所でごく自然にピタリと終わるのは、まさに名人芸と言うべきでしょう。

理想の先生に教わる喜び——学生気分でわくわくしながら次の講座を待っております。