研究内容

(1)ドゥルーズ=ガタリのシステム論に依拠しながら、「人間とは何か」という原理的な問いについて考え、その人間に関する考察から「教育とは何か」というもう一つの原理的な問いを問い直すことによって、人間に関わる多数多様な変容を包括的に捉えることをめざしている。
(2)(1)の人間の変容に関する研究にもとづき、デリダの贈与論とドゥルーズ=ガタリの生成変化論を手がかりとしながら、(教える‐学ぶ)関係を贈与と生成変化の視座から捉え直すことによって、子どもの生がいかに多次元的で立体的なものかを明らかにすることをめざしている。

ゼミ紹介

子どもは日々、人間(=大人)へ向けて発達しています。しかし、子どもの生は、それに尽きるものではありません。子どもは人間への発達を一時的に中断して、動物や植物や鉱物や天体や自然現象などを模倣したり、その絵を描いたり、その声や音を真似たりします。たとえば、子どもは蝶を追いかけながら蝶になり、風とともに走りながら風になり、植物図鑑に載っているひまわりの絵を描き、テレビスクリーンに映し出されたクジラの鳴き声を真似し……。このような子どもの多次元的で立体的な生について考えを深めていきたいと思います。

主な担当授業科目

【院】教育人間学演習/【院】教育人間学特論/教育・心理学演習/教育学概論

所属学会

日本教育学会/教育哲学会/教育思想史学会/フランス教育学会/日仏教育学会

経歴・活動歴

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(教育学)。名古屋芸術大学人間発達学部准教授、大谷大学文学部教授を経て大谷大学教育学部教授。

主要著書・論文

単著

  • 『ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』を読む』(作品社、2022年)
  • 『ドゥルーズ『差異と反復』を読む』(作品社、2019年)
  • 『贈与-生成変化の人間変容論-ドゥルーズ=ガタリと教育学の超克』(青山社、2015年)
  • 『ドゥルーズ=ガタリのシステム論と教育学-発達・生成・再生』(学術出版会、2012年)

論文

  • 「外部からの教育学と外部への教育学-ドゥルーズ=ガタリから唯物論的乳児論へ」(『情況』2019年冬号)