研究内容

昭和前期を代表する詩誌「四季」の文学者たち、特に三好達治と立原道造と杉山平一を中心に研究しています。この3人は資質も志向も異なりますが、詩形の追求と小説の実践、それらを補強する理論の構築に取り組んだ点では共通します。時代と社会にきちんと対峙しえなかったとして、戦後、「四季」は厳しい批判にさらされます。ですが、日本の伝統美と西欧の知性を融合させた「四季」の抒情は奥が深くて私は目が離せません。

ゼミ紹介

大正から昭和にかけての日本に生まれた詩と小説。これらを丁寧に読み込みながら、隙あらば果敢に斬り込む。これが本ゼミの基本姿勢です。小説を読む際、物語の展開や主な登場人物の変化などを正確に把握することが大切なのはいうまでもありません。が、このゼミでは特に表現上の特徴に注目します。表現上の特徴を抽出すると、作者の意図や工夫などが推定できるだけでなく、作者自身は意識していなかったことがわかったり、その時代の空気のようなものまで浮かび上がってきたりするからです。一方、詩に向かうときには、作品の中から絵や音楽をはじめとする多種多様な要素を掘り起こそうと努めます。このような読みの作業に慣れてきた学生は、私がびっくりするほど大胆な解釈を行ったり、作品の片隅に潜んでいた重大な問題を指摘したりするので、ゼミの時間は、私にとってもいつも予測のつかないトキメキのひとときです。

主な担当授業科目

【院】仏教文化特殊研究(演習)/文学科演習/文藝塾実践演習/現代文芸概論

所属学会

日本近代文学会/昭和文学会/日本文学協会/四季派学会/子規研究の会/立原道造の会/中原中也の会

経歴・活動歴

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程(日本近代文学専攻)単位取得満期退学。韓国大田広域市大田実業専門大学専任講師(日本語および日本事情を担当)、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授などを経て、現職。

主要著書・論文

単著

  •  『三好達治と立原道造-感受性の森-』(至文堂)
  •  『書く場所への旅』(れんが書房新社)

共著

  •  『昭和詩人論』(有精堂)
  •  『《現代詩》の50年』(邑書房)
  •  『新研究資料 現代日本文学⑦詩』(明治書院)
  •  『日本の詩100年』(土曜美術社)
  •  『近代文学入門』(双文社出版)
  •  『日本のアヴァンギャルド』(世界思想社)
  •  『現代詩大事典』(三省堂)