研究内容

  1. 浄土教・真宗における象徴的な表現(法蔵菩薩の物語・阿弥陀仏と浄土の荘厳・二河白道・六角堂夢告など)とその解釈についての研究。豊かな象徴表現が有する重層的な意味と力を考察していきたいと思っています。
  2. 英文真宗研究。英語圏の真宗研究に学びながら、国際化した現代社会に浄土真宗を活かす道を探っていきたいと思っています。
  3. 普遍宗教としての浄土教・真宗の意義を明らかにする研究。釈尊以来の仏教の伝統の中で、現実の国家や社会のあり方を批判し、人々の生き方を変える力になってきたのが阿弥陀仏の本願の教えです。真の自由と平等を実現しようとする願いが、歴史の中にどのように現れたのか、またその壮大な理念は、現代社会を生きる私たちにどのような意義を有するのかを明らかにしたいと思っています。

ゼミ紹介

親鸞が語った教えのことばを伝える『歎異抄』をテキストに、人が生きるうえでほんとうに確かなよりどころになるのは何なのかを考えていきます。簡潔な親鸞のことばの背景になっている歴史的・社会的文脈を確かめながら、それらのことばが何を問題にし、何を伝えようとしているのかを、一緒に考えます。いまを生きる私たちにとってどういう意味をもつのかというポイントを明らかにするため、身近な現代社会の問題を例に、国際的な視点から考えることも大切にします。国際コースのゼミでは英訳された『歎異抄』も参照します。

主な担当授業科目

【院】真宗学研究(文献研究)/真宗学演習/欧文仏典を読む/人間学1

所属学会

大谷大学真宗学会/国際真宗学会/日本印度学仏教学会/日本宗教学会/American Academy of Religion

経歴・活動歴

1984年京都大学文学部(哲学科仏教学)卒業。1991年大谷大学大学院(文学研究科仏教学)修士課程修了。1994年カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院(宗教学)修士課程修了。1995年同博士課程論文提出資格、2010年博士号取得(Doctor of Philosophy in Religious Studies, University of California)。1984-89年長野県立岡谷南高等学校英語科教諭。1995-99年真宗大谷派北米開教区嘱託。1999-2003年同組織部嘱託(The Eastern Buddhist 編集)。2003 年大谷大学文学部真宗学科専任講師。2010年同准教授。2016年短期大学部教授。現在に至る。

主要著書・論文

共著

  •  『Buddhas and Kami in Japan: Honji Suijaku as a Combinatory Paradigm』(Routledge Curzon、2003年)
  •  『揺れ動く死と生 -宗教と合理性のはざまで-』(晃洋書房、2009年)
  •  『Faith in Buddhism』(Institute for East Asian Studies、ELTE、2016)

論文

  •  「六角堂夢告 再考」
  •  「「ただ念仏」の原型—『スッタニパータ』「彼岸道品」に謳われる念仏と信心—」
  •  「信の仏教の系譜—『スッタニパータ』「アーラヴァカ経」と「ヴァンギーサ経」に描かれる「信」の原風景」
  •  「普遍宗教としての浄土真宗—無償の贈与を平等に分かち合う思想—」
  •  「現生正定聚と浄土の慈悲—「最後の親鸞」に学ぶ(1)」
  •  「法の流れに入ること—現生正定聚の原型としてのソーターパンナ」