海外研修プログラム報告

2022フィールドワーク【フィールドワーク(国際/アメリカ)】

CONTENTS

概要

日程 「フィールドワーク3(国際/アメリカ)」現地研修代用リモート講義
2022年8月1日(月)~8月5日(金)5日間
会場 大谷大学 慶聞館 K408教室
参加数 第4学年 14名(聴講登録者16名)
リモート講義講師
  • David Matsumoto(米国仏教大学院学長)
  • Takashi Miyaji(米国仏教大学院助教授)
  • 羽田信生(毎田仏教センター所長)
  • James Fredericks(ロヨラメリーマウント大学名誉教授)
  • 長 良子(バークレー東本願寺駐在開教使)
  • 今井亮徳(真宗大谷派前北米・ハワイ開教監督)
  • 桑原浄信(バークレー仏教会駐在開教使)
  • 和田良世(カリフォルニア大学博士課程在学中)
  • 長谷川智行(真宗大谷派北米開教監部嘱託)
  • 伊東憲昭(真宗大谷派北米開教監督)
  • 田中孝道(浄土宗北米開教区)
  • 小島秀明(曹洞宗北米両大本山別 院禅宗寺国際布教主任)
  • Mark Nakagawa(合同メソジスト教会司教)
  • Shakeel Syed(Culver City Mosque)

合計14名
 

研修報告

「フィールドワーク3(国際)」は、アメリカにおける真宗教団の布教現状と課題をとらえることを目的としています。 2022年度は2021年度に続いて新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、現地研修の実施ができませんでした。しかし、現地研修の代用としてリモート講義を実施し、現地研修実施の場合と同様に事前指導と発表会の機会も設けました。
リモート講義受講の様子
リモート講義受講の様子

事前指導

事前研修では、アメリカにおける日系人の戦前の近現代史を理解する必要がありました。特に、日系移民を対象として真宗の布教を開始した時期から、戦中の日系人強制収容所における時期への変遷について学び、そして真宗のみならず他の仏教の諸宗がどのように辿っていったのかに関して講義が行われました。これらについてディスカッションも交え、遠い過去の出来事として認識するのではなく、この史実を現代につながる布教の背景ととらえることに重点をおきました。

リモート講義

David Matsumoto先生
David Matsumoto先生

リモート講義では、米国仏教学院の教員をはじめ、門法道場長や現地で開教活動に携わる方を中心に講義をしていただきました。学術交流協定校であるIBSの先生方には、「宗教多元社会における仏教教育」というテーマで、米国仏教学院の教育の内容と研究活動を紹介されました。またアメリカ史とヨーロッパ史における宗教の価値観の変遷と、アメリカ社会において政治や経済の見地に宗教が何をもたらしてきたのかということに関する概説がなされ、アメリカ人に対する仏教の影響について講義が行われました。仏教の特徴(平等性、科学的、実践的等)とされる点の根拠、仏教がアメリカでは人気となった理由についても述べられました。

Takashi Miyaji先生
Takashi Miyaji先生

学生は多くの開教使の講義を通して、事前講義で学んできた布教の背景について想像以上に苦難と困難に満ちたものであることを知りました。そして、真宗の開教活動が日本人や日系人に果たしてきた役割について改めて知るとともに、真宗が禅宗やチベット仏教と比べてどのように知られているのかという位置づけも理解することができました。
一週間のリモート講義では、すべての講師による講義の一回一回が貴重であり、密度の濃い学びでありました。担当者がシカゴの真宗寺院における出会いと北米における布教経験に関する話を交えながら、各回のまとめを行いました。

発表会

発表会は、9月26日(月)18:00~ K204教室で、受講生全員と真宗学科の教員たちも参加して、約90分行いました。
発表した学生たちは、最初はリモート講義が始まる前は、アメリカでどのような真宗組織があり、そこで布教活動がどのように展開しているのかほとんど理解しておらず、布教について漠然としたイメージしか持っていませんでした。しかし、リモート講義により将来的な真宗教義の紹介等をどうとらえるのか今後の展開に向けて問題意識が養われ、大変充実した内容であったことが発表から伺え、実地研修実施時に劣らない学びの場となりました。
Michael J. Conway(科目担当)
Michael J. Conway(科目担当)

担当者としては、今後、学んだことをより発展させるためには、このリモート講義で得た知識を自分で調べ、自ら課題を見つけ、自身で意見できるようにするのが非常に大切と考えます。そのような学びによって、更なる関心が湧き出ると考えられます。リモート講義で話されていたように、「浄土真宗を通して社会問題を取り上げていく」ということも可能になっていくのです。そのようなことを学生に期待できる発表会となりました。

【Michael J. Conway(中国浄土教/親鸞思想/近代教学)】