海外研修プログラム報告

2011文化研修【ヨーロッパの宗教と文化(フランス)】

概要

日程 8月23日(火)~9月5日(月)【14日間】
参加数 22名 (引率者2 名)
主な研修地 ●ストラスブール              ●オベルネ
●ストリュートフ旧ナチス収容所     ●オーケーニヒスブルク城
●コルマール~ライン河畔        ●エギスハイム
●シゴルスハイムの丘          ●リクヴィル
●カイゼルスベルク            ●キンツハイム(以上アルザス地方)
●ディジョン                ●ボーヌ
●クロ・ドゥ・ヴージョ(ワインシャトー)
●ヴェズレー(以上ブルゴーニュ地方)
●ミィ・ラ・フォレ(パリ郊外)       ●ヴェルサイユ
●パリ

スクロールできます。

研修報告

フランス研修は今年も、ドイツ国境に接するアルザスの多様な魅力を5日間でじっくりと味わうことからスタートしました。もともとフランス研修のコースは、他のプランも用意していたのですが、例年アルザス人気が絶大で、それでいてこのようなツアーは他にあまりないため、研修地としてアルザス地方を要望する声が目立っていたということもありました。
 この地方はフランスのなかでも自然環境と街並みの調和がとりわけ素晴らしい地方で、絵本から抜け出したような古い木組みの家々は訪れる者の心を魅了してやみません。一方、このアルザスは、これまで幾度となく独仏間での争奪の地として苦難の歴史を強いられ続けた地方でもあります。美しいシゴルスハイムの丘の脇に広がる広大な無名戦士の墓地や、旧ナチスの強制収容所ストゥリュートフも訪れましたが、絞首台や人体実験の手術室もそのまま残る施設の光景に参加者は強烈な衝撃を受けたようでした。かつてアルザスが強いられた歴史的教訓の重さや平和と自由の尊さについて、参加者は改めて深く思いをめぐらしたようでした。

     コルマール                                                     オベルネ

 楽しい観光の部分が少なかったわけではありません。滞在中はいかにもアルザス的な、童話世界を目の当たりにするような、かわいい村の数々を訪れ散策を楽しみました。ライン河の岸辺で野生の白鳥たちと一緒に水遊びができたり、高さ100メートル超のストラスブール大聖堂の頂上付近まで、皆で薄暗い螺旋階段を伝って登ることになったりと、移動型研修ならではの楽しいハプニングにも事欠きませんでした。
 アルザス同様ワインづくりの伝統が息づくブルゴーニュでは、中世ブルゴーニュ公国の古都ディジョンを散策し、ワインの都ボーヌでは、アルザスとはまた違った街並みや雰囲気の魅力に触れることができました。世界的に有名なワインシャトー、クロ・ドゥ・ヴージョーでは、うち解けた雰囲気のなかでカーヴ見学と試飲とを楽しみました。マグダラのマリアゆかりの聖マドレーヌ寺院がそびえ、その美しい丘と街並みが世界遺産に登録されているヴェズレーにも、パリに向かう途中で訪れることができました。
 研修がパリにさしかかる頃になると、参加者たちはフランス滞在にすっかり慣れ、めいめい自立して、美術館めぐりやショッピングに、散策やグルメ体験にと、より積極的に行動できるようになりました。幸い、ほぼ全行程を通じて好天に恵まれ、特に事故もなくフランス研修を終えることができたのはなによりのことでした。皆で共に楽しみ、ときに逆にサポートされたり、新たな発見もできた充実した14日間でした。
【並木 治(専門/フランス文学・文化)】