海外研修プログラム報告

2011文化研修【インドの宗教と文化(インド仏教遺跡研修第1班)】

概要

日程 2011年8月21日(日)~9月3日(土)【14日間】
参加数 20名(引率3名)
主な研修地 ●仏跡関連
サヘート(祇園精舎)、ルンビニー、クシーナガラ、ヴァイシャーリー、
ラージギル(王舎城)、ブッダガヤ、サールナート(鹿野苑)
●その他
ベナレス(ガンジス河)、アグラ(タージマハル)、国立博物館

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研修報告

この研修は一般の旅行とは異なり、出発前に大学でインドの歴史や文化、ブッダの生涯と思想に関する講義を受講し、その上で実際に現地を訪れるものです。毎年若干コースは変わりますが、本年度は、ブッダが生まれ青年時代を過ごした釈迦族の国から入り、次第に南下するというコースを辿りました。
誕生の地ルンビニーでは、スリランカやタイからの巡拝者が一緒でした。静寂の中、それぞれの言語で勤行が行われますが、我われもスリランカの方々のあと、みんなでお勤めを行いました。ルンビニーは整備中で、マヤ堂へ至る長い参道にこれからさまざまな国の寺院を建設する計画でした。旧釈迦族領土の静かな雰囲気も、もう数年でなくなってしまうのかも知れません。

とある街角にて                                             ルンビニーにて    

旅が進んでインドを南に下がってくるほど人が多くなり、したがってさまざまな意味での「汚れ」も増してきます。しかし今回特に感じたのは、道端の「ゴミ」の多さでした。村々のあちらこちらに散乱するゴミ。そのほとんどが「ビニール」もしくは「プラスチック」系です。
私がはじめてインドを訪れたのはもう30年近く前ですが、そのころインドに「ゴミ」などありませんでした。カレーを食すお皿はバナナの皮、チャイのカップは素焼きの器、歯磨きはニームの木の枝。牛フンは燃料に、人糞は肥料に。煙草も「ビリー」という、刻んだ葉っぱを一枚の葉っぱで巻いたもの。果物やピーナッツは、薄汚れた紙袋か新聞紙に包んで売ってくれました。食べ残しは道に出せば牛が食べ、紙くずはヤギが消してくれます。煙草も皿もカップも、道に投げ出せばすべて大地に帰っていきます。そんな自然のサイクルの中に、人びとの暮らしが共にあったのです。
ところが今、インドの人びとの「大地に帰す」風習だけをそのままに、多くのものがプラスチックとビニールに変わってしまったのです。大地に帰らないものを大地に捨てる、これがゴミとなります。インドもいつか、街角にゴミ箱を置かなくてはならない程に堕落するのでしょう。ゴミを収集しなくてはならない程、人間の生活が自然から遊離することになるのです。
そんなことをみんなで学びながら、研修を行ってきました。
【木越 康(専門/真宗学)】