海外研修プログラム報告

2010文化研修【ブッダを歩く(インドフィールドワーク)】

概要

日程 2010年8月25日(水)~9月1日(水)【8日間】
参加数 19名(引率者2名)
主な研修地 ラージギール(霊鷲山・竹林精舎・王舎城牢獄跡)
ナーランダ(ナーランダ大学跡)
ブダガヤ(大塔・前正覚山・尼連禅河・スジャータストゥーパ)
ベナレス(ダシャーシュワメードガート:ガンジス河岸の沐浴場)
サールナート(ダメーク塔・迎仏塔・サールナート博物館他)
アグラ(タージマハル・アグラ城)
マトゥーラ(マトゥーラ州立博物館)

スクロールできます。

研修報告

「ブッダを歩く(インドフィールドワーク)」は、2010年度から短期大学部の仏教科に新しく開講された体験型授業です。仏教科における日常の学びを踏まえてインド北部の三大聖地を中心とする主要な仏跡をめぐり、ブッダの生涯と教えについての学びを深めることを目的とする、文字通り、インドの広大な大地を舞台とするフィールドワークです。初年度にもかかわらず多くの学生の参加がありました。

日程は、近年、発展著しいインドの首都デリーに到着後、国内線で空路ビハール州のパトナへ移動。専用バスに乗り、ナーランダ大学跡を皮切りに、ラージギール、ブダガヤ、ベナレス、サールナートと進めていきました。

最初に訪れたナーランダ大学は5世紀から12世紀まで、玄奘三藏や法顕など多くの学僧が学んだインドにおける最大の仏教センターで、当時の敷地は10キロ四方に及んだと伝えられます。現在、確認されているのはその一部ですが、現地ガイドの方の詳細な説明を聞きながら、多くの学僧が学んだ当時の様子に思いを馳せました。

ラージギールでは、『観無量寿経』の舞台となった王舎城の牢獄跡から遙か霊鷲山をのぞみ、続いて竹林精舎を見学後、霊鷲山の山頂まで30分ほどかけて徒歩で登りました。8月のインドの日差しを受けての道のりで体力的にも厳しい行程でしたが、普段、仏教科の授業で学んでいる『無量寿経』『法華経』などの経典の舞台となった地をあるく、印象深い体験となりました。

ブダガヤの菩提樹のもとで                                           ベナレスへの道中にて  

ブッダ成道の地であるブダガヤでは大塔内の釈尊像にお参りをした後、ミャンマー僧やスリランカからの巡礼団など世界各地からの仏教者が行き交うなか、菩提樹のもとで「嘆仏偈」のお勤めをしました。参加者・引率者ともに仏跡を訪れるということの意味を、理屈ではなく肌で感じることができる貴重な経験となりました。

ブダガヤから初転法輪の地サールナートへの250kmあまりの道のりは、近年、道路整備が進み6時間ほどで到着できます。かつてこの道のりを数日かけて歩いたであろうブッダの歩みに思いを致しながら、五比丘がブッダを迎えた迎仏塔、初転法輪の地に建てられたダメーク塔、初転法輪像を展示するサールナート博物館をめぐりました。

仏跡のみではなくインドの生の文化に触れる機会をもつこともできました。ガンジス河の沐浴風景。ベナレスでの自由行動時間にはバザール(市場街)に出かけ現地の人との買物交渉を経験し、またインド舞踊観賞の際には、研修に参加した学生(プロパーカッショニストとして活躍中)と演奏者との即席コラボレーションによって、演奏者と聴衆の垣根を超えた交流が実現するなど、折々の交流を通して学生たちはインドの大地に生きる人の生活とその文化に深い感慨を懐いたようです。

日程を進めていくうちに、バスの車窓から眺める景色も含め、参加した学生一人ひとりのこころに移るインドの景色が変わっていく様子が感じられ、また普段の仏教科における学びの内容と直結していることもあり、とても中身の濃い研修となりました。
学生と教員の対話とともに体験を学びの柱とする短期仏教科にとって重要な研修であることは間違いなく、また、今後、より充実した研修となることを願ってやみません。
【西本 祐攝(真宗学)】